グリーフ:大切な人を失った後の喪失感によって起こる変化と対処法

大切な人を失った後の喪失感によって起こる変化

介護が終わった後に訪れる”悲嘆(グリーフ:GRIEF)”状態。どんな変化が起こり、どのように対処をするべきなのでしょうか。

介護者メンタルケア協会の橋中今日子さんに伺いました。

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看取りを終えた後にやってくる”心の痛み”はとても自然なこと

介護とは、家族の生活や人生に寄り添いながら続く時間です。その先には命が終わるその時が必ずあります。
 
長期化しやすいことも多い介護ですが、「家族が見守る中で見送りたい」、「静かで穏やかな最期を迎えさせてあげたい」との願いは誰しも持つものではないでしょうか?
 
しかし、大切な人の死は、突然の体調の変化やトラブルなど、予想もしていない状況で迎えることも少なくありません。 

大切な人の死で受ける衝撃、そして期待していた状況で迎えることができなかった嘆き、苦しみはとても大きいなものです。 

それまでの介護をしてきた疲れを癒す間もなく、急変時の対応をし、そして看取るために奮闘する中で、心は大きく揺れ動き、傷いています。

当介護者メンタルケア協会に寄せられる悩みの声は、現在介護をしている方だけでなく、家族の看取りを終えられた後のご相談が少なくありません。

その悩みの声を聞いてみると、最近ご家族の看取りをされた方よりも、数ヶ月後、1年後、など時間が経過している方、10年以上苦しいお気持ちでいらっしゃる方は少なくありません。

そして周囲から「悲しんでいたら、故人がうかばれないよ」、「あなたが悲しむのを故人は望んでいないよ」との励ましが「嘆き、悲しんでいてはいけない」、「落ち込んでいるのは悪いことだ」と聞こえて、心はさらに大きく揺れ動きます。

大切な人を亡くした心の状態、痛み、苦しみを”悲嘆(グリーフ:GRIEF)”と呼びます。悲嘆状態になることはとても自然なことですし、その痛みを癒すためには時間がかかるものです。

今、苦しい気持ちにおられる方は、落ち込んでいる状態は悪いことではないこと、早く元気にならなければと焦る必要はないこと、そして解消する方法があることを知って、安心してくださいね。

心身や生活の変化

身体に起こりやすい変化

身体が重だるい、動悸、呼吸が浅くなる、頭痛、肩こり、腰痛、食欲の低下、吐き気、下痢・便秘症状、息苦しさ、動悸、めまい、眠れない、眠りが浅い、眠気が常にある、朝起きられない 他

心に起こりやすい変化

怒りっぽくなる、悲観がちになる、過度に前向きになろうとする、慰め、いたわりの言葉にイライラする・腹が立つ、やる気が出ない、突然泣けてくる、故人の面影を追い求める、死の意味づけ理由づけに固執する(これでよかった、しょうがない)、環境や相手へ攻撃的になる、前向きにならなければと焦る、焦燥感、落ち込み、苦しさ、寂しさ 他

生活の中に起こりやすい変化

仕事への意欲の低下、仕事・ボランティアに過度に熱中する、暴飲・暴食、携帯のゲームやギャンブルなど刺激的な遊びに熱中する、朝起きられない、眠る、食事時間を省く、疲れていないのに寝て過ごす 他

これらは24時間ずっと続くこともありますが、普段は元気に生活ができていても、ふとした瞬間に突然症状が出ることも少なくありません。

例えば…
・バリバリと仕事をこなす中、ふとした瞬間に涙が止まらなくなる
・友人と楽しく話していたのに、何気ない友人の一言で怒りを爆発させてしまったり、イライラしたりしてしまう
・食器を洗っていて、突然体が震えてくる、どんと落ち込んだ気分になる

これらの症状が出ると、「まだ立ち直っていなかったのか!」とショックを受ける方も少なくありません。

しかし、これらの症状は、体の奥深くに隠れている、”悲嘆(グリーフ)”を外に出すために、出てきてくれているだけなのです。 

突然起こる症状に、自分でもショックを受ける方も少なくありませんが、苦しい気持ちを解消するために体が起こしている体の反応ですから自分を責めたり、否定せずに受け入れましょう。 

悲嘆(グリーフ)状態で起こる変化への対処法

○息を吐いて、呼吸を整える
吸うことを意識すると、緊張するので、息を吐くことだけ意識してみましょう

○悲しみや苦しみが自分の中にあるんだと言葉にしてみる
「まだまだ苦しい気持ちがある」、「悲しみがあるんだな」と声に出してみましょう。

○気持ちを外に出す
・ノートに気持ちを書き出す
綺麗に書く必要はありません。気が赴くまま書き出してみましょう

・思いっきり泣く
涙を止める必要はありません。涙が出てくるまま、泣き続けましょう

・歌う、叫ぶ
車の中やカラオケボックスなど、一人になれる場所があれば、歌うこと、「おおおおおおおお!!!!!」と叫んでみましょう。少し恥ずかしい、照れくさい気持ちがあるかもしれませんが、声を出すことで言葉にならない思いを外に出すことができます。

変化に対処しながら、回復へのステップに進んでいきましょう。
>>大切な人を失った後の喪失感、痛みから心を回復する方法

執筆者:橋中今日子

理学療法士・リハビリの専門家/心理カウンセラー
認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟の3人を介護。シングル介護歴は21年になる。
家族関係や人間関係に悩んだことから、心理学、コーチング、コミュニケーションスキルを学ぶ。
「介護者メンタルケア協会」を設立し、家族を介護している方、医療・介護の現場で働く方が「心が軽くなる」よう、心身両面からサポートする活動をしている。
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※この記事は2016年12月時点で作成した記事です。(改修:2019年1月)

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