親族後見人とは?報酬や手続き方法

 

後見人制度についての話し合いのイメージ

 

親族後見人とは?

成年後見人制度とは、高齢で認知能力が不十分な方に代わって財産管理や契約の締結や取り消しなどをおこなうことです。

親族後見人として、被後見人等(※1)の家族や親族が後見人等(※2)に選任されることがあります。

なお、任意後見制度は、ご自身の判断能力が健在であるうちに、ご自身の判断能力が低下した場合に備えて、ご自身の将来の財産管理や身の回りのことについて支援して頂く事を決めておくことができる制度です。被後見人の希望通りの人を後見人にすることが可能です。

ただし、認知能力は下がっても、申立てができる成年後見制度とは異なり、任意後見は認知能力がある程度ない状態でないと利用が出来ないので注意しましょう。

任意後見制度とは異なり、成年後見人制度では、家庭裁判所が後見人等を決めるので、必ずしも親族が選任されるわけではないはありません。

加えて、後見人等を希望しても、下記5つの欠格事由に当てはまる場合は、後見人等に選任されることはないのです。

  1. 未成年者
  2. 破産者(※3)
  3. 行方不明者
  4. 過去に被後見人等に訴訟を起こした者
  5. 過去に後見人等を解任された者

後見人等は、被後見人等の財産や身上監護上(※4)の契約なども代理して行えるので、選任基準が厳しくなるのも、仕方がないことかもしれませんね。

※1被後見人等…被後見人・被保佐人・被補助人のことです。

※2後見人等…後見人・保佐人・補助人のことを指します。

※3破産者…破産宣告から免責を受けるまでのあいだの人のことを言います。免責を受けた方は、欠格事由の対象ではありません。

※4身上監護…被後見人等の身体、精神の状態やおかれた状況を考慮して生活、健康や療養に関する契約を代理しておこなうことです。

親族後見人も報酬がもらえる?

成年後見人制度では、後見人等に選任された方に報酬が発生するのをご存じでしょうか。 後見人等が弁護士や司法書士等の専門家が選ばれた場合には、業務として後見人等になっているので、対価が発生するということも理解できます。

親族が後見人等になった場合にも報酬がもらえるのか、と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

「家族だし、お金は発生しないでしょ」と考えている方も少なくないと思います。 しかし、民法の862条で定められている、後見人の報酬では、親族の後見人等と親族以外の後見人等を区別していません。

したがって、後見人等に家族などの親族が選任されたケースでも、報酬をもらうことが出来るのです。

報酬といわれても、いくらが相場なのか想像がつかない方もいらっしゃるでしょう。

裁判所では、成年後見人等の報酬を下記のような目安を公表しています。

【管理財産別の報酬の目安】

基本報酬…月額2万円程度

管理財産額が1000万円以上5000万円以下の基本報酬…月額3万円から4万円

管理財産額が5000万円以上の基本報酬…5万円から6万円

 

上記のほかにも、付加報酬というものもあります。

付加報酬とは、後見人等が財産管理や身上監護等をおこなっていくうえで、特別困難な事情があったケースに支払われるものです。

付加報酬の目安は、上述した基本報酬額の50パーセントの範囲内で支払われます。

また、成年後見人等が被後見人の遺産分割や不法行為等での訴訟で勝訴したときに、管理財産が増額した場合には金額に見合った付加報酬が生じることもあります。

親族が成年後見人になるための手続きは? 

「親族後見人とは?」でもご説明しましたが、成年後見制度は、家庭裁判所が後見人等を宣するので、必ずしも後見人等になれるとは限りません。

言い換えれば、欠格事由に該当しなければ、親族であれば選任される可能性があるのです。

家庭裁判所に成年後見制度の申立てをする際、申立書内には「成年後見人等候補者」という欄があります。

候補者は、親族内で争いがなく、また他の親族が反対をしていない場合には、後見人等に選任される確率が高まります。

具体的にいうと、他の親族が候補者の金銭管理に不信感を覚えていないケースです。 親族間に争いや反対がないかどうかは、「親族の同意書」が提出されているかどうかで判断されます。

とはいえ、しつこいようですが、後見人等はあくまで家庭裁判所が選任するので、親族の反対がないからといって100パーセント選ばれるわけではありませんので、ご注意ください。

後見監督人等の役割

成年後見制度には後見人等が適切に仕事をしているか確認する後見監督人等という役割があります。

後見監督人等は、後見人等が被後見人等の親族であった場合、裁判所によって選任することが多いです。

後見監督人等の役割は、後見人等が財産管理をただしく行っているかを監視するほかにも重要な仕事があります。

それは、後見人等が身上監護上の法律行為をおこなう際、判断に誤りがないようにサポートをすることです。

実際に、後見監督人等が選任されている場合、相続に関することや財産に関する契約を結ぶときなど、重大な法律行為をおこなう際には、後見人等単独でおこなうことは出来ません。 後見人等の同意が必要になります。

したがって、親族が後見人等に選任されたときの後見監督人等は司法書士や弁護士などの専門家になることが多いです。

なお、後見監督人等は、家庭裁判所の判断で選任されることもありますが、申立ての際に希望することも可能です。

また後見人等と同じく、報酬を支払う必要があり、下記が相場です。

【管理財産別の報酬相場】

管理財産額5000万円以下…月額5000円~2万円程度

管理財産額5000万円を超える場合…月額2万5000円~3万円程度

 

大体年間6万円から36万円程度が、管理財産額から支払われることになります。

被後見人等の財産に余裕があれば良いですが、長期間にわたって制度利用するときは高額になる可能性が注意必要です。

後見監督人等を選任させたくないときには、各銀行で展開している「後見制度支援信託」を利用するのも手段のうちです。

親族が後見人等に選任された場合、「後見監督人等の選任」か「後見制度支援信託」を利用するかの訪ねてくれる家庭裁判所もあります。

後見制度支援信託とは、簡単にいうと後見人等に代わって、銀行が財産管理をしてくれるものです。

銀行が管理をおこなってくれるので、後見人等の仕事の軽減がはかれますし、財産の使い込みなどを疑われることもほとんどありません。

利用に指しての金額については、管理財産額や各銀行などによって異なります。

興味のある方は、裁判所より「後見制度において利用する信託の概要」という資料がありますので、確認してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

今回は、親族後見人について詳しく確認してきました。

くり返しになってしまいますが、法定後見人等は家庭裁判所が選任するものなので、こちらでどうこうできるわけではありません。

しかしながら、最高裁判所では「後見人等は親族であった方がよい」いう方針を発表しました。 そのため、今後は親族後見人等が増えていくことが予想されます。

とはいえ、後見人等になった際、法律の知識が必要になる機会もあると思います。

成年後見制度を利用し、後見人等になりたいとお考えの方は、今後のことを含め一度専門家に相談して見ても良いかも知れませんね。

監修者:鈴木 一
監修者:弁護士 鈴木 一 (虎ノ門協同法律事務所)

1994.03 青山学院大学法学部卒業
2002.10 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2002.10〜2004.05 津山法律事務所
2004.09〜2006.01  弁護士法人渋谷シビック法律事務所
2006.2~  虎ノ門協同法律事務所