サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)とは?

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)とは?

住み慣れた地域や家庭に近い施設を探しているという方にお勧めなのが、サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)です。本記事では、その対象者やサービス内容、費用などについて解説しています。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の内容と共に、ぜひご確認ください。

 

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)とは?知っておきたい基本ポイント

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)とは?知っておきたい基本ポイント

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の基本ポイントを確認していきましょう。

住み慣れた地域にこだわる生活施設

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)とは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の一種です。常に介護が必要なため自宅での生活が難しくなったけれども、住み慣れた地域や家族のそばでの施設を探している方向けの介護保険施設です。介護保険上では、「地域密着介護老人福祉施設」と呼ばれています。

入所者は食事や排せつなどの介護を受けながら生活を送ります。介護保険が適用される公的な施設なので、費用に対してサービスが充実おり、非常に人気があります。入所時に支払う初期費用もありません。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)は、利用定員が29名以下の小規模な施設です。利用定員が30名以上の特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)などの本体施設から、通常の交通機関を使って20分以内の位置に設置されており、連携を取りながら運用されています。

「地域密着介護老人福祉施設」には、サテライト型の他に、本体施設を持たない「単独型」もあります。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の特徴

サテライト型特別養護老人ホームは、利用定員が29名以下と小規模なため、明るくアットホームな雰囲気の中で生活することができます。また、事業所のある市区町村に住んでいる方が入所できる施設です。運営基準にも「地域や家庭との結び付きを重視した運営」という一文があり、それまで暮らしてきた地域や家庭の結びつきを大切にしながら暮らすことができるのが特徴です。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の退去要件

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)では、利用料金の滞納や入所時の申請に虚偽が発覚した場合、死亡の場合に退去が必要となります。その他に退去が求められるケースとしては、下記のようなものがあります。

  • 医療ニーズが高くなり、施設では対応できなくなったとき
  • 心身の状態や要介護度が改善され、常に介護が必要なくなったとき
  • 暴力や暴言などがあり、他の入所者や職員の安全の確保ができないとき

「入院して3ヵ月以内に退院できないと主治医が判断したとき」にも、退去が必要にある場合があります。どんな時に退去が必要になるのかを、契約の前に確認しておくといいでしょう。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の職員体制

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)では、入所者3人に対して、介護職員または看護職員が1人以上。医師は、健康管理や療養上の指導を行うために必要な数が配置されています。その他には、管理者、栄養士、機能訓練指導員、介護支援専門員などが配置されています。

管理者、医師、生活相談員、栄養士、機能訓練指導員、介護支援専門員などは、本体施設の職員が兼務可能です。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のメリットとデメリット

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のメリットとデメリット

特別養護老人ホームのメリットとデメリットを比較してみましょう。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のメリット

  • それまで暮らしてきた地域や家庭との結びつきを継続することができる
  • 少人数なので職員や他の利用者と顔なじみなりやすく、家庭的な雰囲気の中で暮らすことができる
  • 介護保険が適用される公的な施設なので利用料が安く、所得に応じて負担軽減制度を利用することができる
  • 初期費用がかからない
  • 重度の要介護者を受け入れてくれる
  • 終の棲家として看取りの対応も可能

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のデメリット

  • 原則として要介護3以上の方のみが利用できる
  • 医療ニーズの高い方は入所ができないことがある
  • 利用希望者が多く、希望しても入所までに時間がかかることが多い

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の対象者

 

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の対象者

それでは、サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)に入所できる対象者を確認しましょう。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の入所対象者

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の入所対象者

要介護3~5の方で常に介護が必要な方、事業所のある市区町村に住民票がある方が利用できます。要介護2以下の方は、原則として利用できません。

要介護1、2でも例外が認められるケース

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)は、原則として要介護3以上の方が入所できる施設ですが、要介護1、2の方でも下記の特例要件に当てはまれば入所が可能です。

  • 認知症や知的障害、精神障害などにより、日常生活に支障を来すような症状や行動、意思疎 通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であること
  • 家族などからの虐待の疑いがあり、心身の安全や安心の確保が困難な状態であること
  • 一人暮らしや老々介護、同居家族が病弱などの理由で、家族などによる支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分なこと

こうした特例は市区町村ごとに定められています。横浜市などではさらに、「同居家族が就労中や育児中のため支援が期待できないこと」も特例要件として記載されています。詳しくは、お住まいの市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターでご確認ください。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のサービス内容

それでは、サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)で提供されるサービスは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)と同じです。そのサービス内容を見ていきましょう。

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)のサービス内容

  • 日常生活上の世話 移動、排泄、入浴などの介護、居室や共有スペースの清掃、洗濯 など
  • 機能訓練 日常生活動作のリハビリテーション
  • 健康管理や療養上の世話
  • 食事やおやつの提供
  • レクリエーション
  • 看取り など

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の1日の流れ(例)

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の1日の流れ(例)
 

※サービスの内容は、サービス提供事業者によって異なります

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)で入所する部屋のタイプ

介護サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)には、4つの部屋タイプがあります。

●従来型個室

居室が個室になっているタイプです。トイレや浴室は共用で、洗面台は寝室内にあることが多いです。洗面台やトイレ、ミニキッチンが個室内にあるところもあり、個室内の設備は施設によって異なります。

●多床室

1部屋4床以下の相部屋です。ベッドの間には棚などで仕切りが作られており、プライベートが確保できるように工夫されています。

●ユニット型個室/ユニット型個室的多床室

10人以下を1つのユニットとして、共同で食堂や生活室、トイレ、浴室を利用します。居室には個室タイプと、天井と壁との間に隙間がある個室的多床室タイプがあります。

日中は1ユニットごとに介護職員または看護職員が常時1人以上、夜間は2ユニットごとに1人以上配置されています。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)でかかる料金

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)でかかる料金

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)を利用すると、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか。その金額を見ていきましょう。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の1日ごとの基本料金

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)費は、以下の金額となります。

 

従来型個室

多床室

要介護1

582

要介護2

651

要介護3

722

要介護4

792

要介護5

860

ユニット型個室

ユニット型個室的多床室

要介護1

661

要介護2

730

要介護3

803

要介護4

874

要介護5

942

 

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。サービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

その他にかかる費用

上記の金額の他に、部屋代と食事代がかかります。基準費用額は、1日当たり以下の通りです。

 

  • 食費:1,445円
  • 従来型個室:1,171円
  • 多床室:855円
  • ユニット型個室:2,006円
  • ユニット型個室的多床室:1,668円

また、利用者の所得に応じた軽減制度があります。詳しくは担当のケアマネジャーにご確認ください。 

その他、おむつ代や洗濯代などの日常生活費、理美容代(実費相当額)がかかります。

ひと月毎にかかる費用

ひと月毎にかかる費用は、「介護保険の基本料金」+「部屋代」+「食事代」+「日常生活費」+「各種加算」などです。

要介護3の方が多床室を利用した場合」では、部屋代と食事代を基準費で計算すると、30日当たりで90,660円*となります。

部屋代、食事代は施設によって異なりますのであくまでも目安としてください。また、日常生活費は入っていません。

*「介護報酬の算定構造」(令和3年4月改定版)を基に計算しています。

入所時にかかる費用

入所時にかかる保証金などはありません。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)に入所するまでの流れ

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)に入所するまでの流れ

最後に、サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)を利用する基本手順を確認しておきましょう。

サテライト型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設)の利用方法と入所手続き

1.入所したい施設を探す

ケアマネジャーに相談するか、インターネットなどを利用して自分で探すといいでしょう。サービス内容だけでなく、立地や周辺環境、利用料金などにも注意しましょう。

2.気になる施設に見学に行く

条件に合う施設を見つけたら、まずは見学に行き、実際の施設の雰囲気や食事の内容を見たり、実際に利用している方やスタッフさんとお話したりして、利用者にとって適した環境であるかどうかを確認することが大切です。体験入所を申し込んだり、ショートステイで利用してみたりしてもいいでしょう。

3.申し込みをして待機

見学して気に入った施設を見つけたら、事業者に直接申し込みます。複数の事業所への申し込みが可能です。申し込み後、施設が訪問または電話などで本人の状態や環境の調査をして実状を把握。施設の入所検討委員会にて、入所順番が検討されます。多くの場合は待機が必要となります。

4.契約

入所の順番が来てから改めて意思確認をします。入所希望を伝えると、施設のケアマネジャーが「暫定サービス計画」を作成し、契約に進みます。契約時は、疑問に思うことは積極的に質問をしましょう。

【契約時に必要なもの(例)】

  • 契約者の戸籍抄本
  • 契約者の住民票
  • 介護保険被保険者証
  • 契約者の印鑑証明、実印
  • 身元引受人の印鑑証明、実印
  • 健康診断書や診療情報提供書 など

※上記は基本的な流れです。サービス提供事業者やケアマネジャー、利用者の状況によって異なります。

入所の順番の決まり方

特別養護老人ホームの入所の順番は、申し込み順ではありません。本人の調査をしたうえで、施設の入所検討委員会にて下記の項目が評価され、入所順番が決定されます。

  • 認知症高齢者の日常生活自立度(主治医意見書)
  • 本人の要介護
  • 介護者の状況(単身かどうか、介護者がいても在宅での介護が困難かなど)
  • 在宅サービスの利用率
  • 施設サービスなどの利用期間
  • 特記事項(虐待や本人による暴力、経済状況など)

評価の基準や入所検討委員会が開かれる頻度などについての詳細は、それぞれの施設にご確認ください。

住み慣れた地域で最期まで暮らしたい方に

要介護度が高くなって常に介護が必要になってからも、住み慣れた地域や家族のそばで最期まで暮らしたい、暮らしてもらいたいと考えている方にお勧めなのが、地域密着型の特別養護老人ホームです。在宅での生活が難しくなってきたら、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

※この記事は2021年3月時点の情報で作成しています。

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監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。