自動排泄処理装置の交換可能部品とはどんなものですか?レンタルできないのは何故?

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寝たきりの父はトイレ介助が必要です。自動排泄処理装置の利用も検討していますが、本体とは別にある交換可能部品とはどういうものですか。

また、本体は介護保険でレンタルできるのに、交換可能部品は購入しなければならないと聞きました。なぜ一緒にレンタルできないのでしょうか?

専門家交換可能部品とは、尿や便の経路となるチューブやタンク、レシーバーなどです。福祉用具のうち、入浴や排泄の際に直接肌に触れる用具は使い回しに向いていません。そのため、レンタルではなく購入することになります。介護保険が適用されるため、費用は原則1割(一定以上の所得がある方は、所得に応じて2割または3割)負担です。

「自動排泄処理装置の交換可能部品」とは?

寝たきりの方の介護

寝たきりの方や、自力で排泄ができない方の排尿・排便をサポートする自動排泄処理装置。排泄物を自動的に吸引し、洗浄・乾燥まで1台で処理できるので、負担の大きい排泄介助がラクになります。

自動排泄処理装置は、装置本体と複数のパーツ(交換可能部品)で構成されています。交換可能部品はどのようなものなのか、まずは基本的な特徴を押さえておきましょう。

尿や便の経路となる専用パーツ

自動排泄処理装置の交換可能部品は、尿や便の経路となるパーツの総称です。具体的な種類については後述しますが、自動排泄処理装置を構成する部品のうち、排泄物が直接触れるものがこれにあたります。

本体は要介護4または要介護5の方が対象

自動排泄処理装置の本体および交換可能部品は介護保険サービスの対象となっているため、少ない自己負担額で在宅介護に利用することができます。

ただし、自動排泄処理装置を利用できるのは、介護レベルが高い要介護4または5に認定された方です。要支援1、2および要介護1〜3の方には、原則として介護保険が適用されないので注意しましょう。

介護保険の対象となる福祉用具は多岐にわたりますが、要介護要支援の度合いによって対象者が限定されています。自動排泄処理装置については、基本的に、排便やトイレへの移乗の際に全介助を必要とする方が対象です。

「日常生活において、どの程度のサポートが必要か」については、要介護認定の基本調査で判断されます。

交換可能部品の種類・選ぶときの注意点

交換可能部品の種類や選ぶ時の注意点について

主な交換可能部品は、レシーバー・チューブ・タンクです。自動排泄処理装置のタイプによっては専用パッドやシーツ等の関連部品もありますが、それらは福祉用具における交換可能部品には含まれません。 では、交換可能部品の役割や選び方のポイントをみていきましょう。

レシーバー

レシーバーは、尿や便を直接受ける部品です。細いチューブにつながれた先端部分は、男性用と女性用で形状が異なります。レシーバーをあてがって排泄すると、センサーが感知して自動的に吸引する仕組みになっており、チューブを通ってタンクにためられます。

レシーバーは寝たままでも自分であてがうことができるので、身体状況によっては介助なしで排泄を済ませられるようになるでしょう。女性用のレシーバーにはあてがいやすいハンドルが付いています。

また、お手入れのことを考えると、レシーバーとチューブが取り外せるものが望ましいです。

チューブ

レシーバーで受けた尿は、チューブを介してタンクに運ばれます。長さはたいてい2メートル程度あるため、本体をベッドの脇など邪魔にならないところに置いておくことができます。チューブ内を自動洗浄できるタイプなら、お手入れの手間が省けるでしょう。

タンク

排泄物をためるタンクは自動排泄処理装置の本体内部に設置されています。一般的な自動排泄処理装置のタンクの容量は3リットル程度です。成人の約1日分の尿をためられるので、後処理は1日1回程度で済みます。

交換可能部品は慎重に選ぼう

自動排泄処理装置の交換可能部品は、必ず本体に適合するものを使用してください。異なる機種の部品を選んでしまうと、サイズが合わないなどで使用できなくなってしまいます。

自動排泄処理装置は、比較的コンパクトなものから大容量タイプまでさまざまサイズがあります。大きいタイプは多くの排泄物をためておけますが、その分重いので、持ち運びには不向きです。寝室以外の場所にも持ち運んで使う場合は、コンパクトで軽量なタイプがおすすめです。

交換可能部品には「レシーバーセット」のようなセット品もあります。先端のレシーバーとチューブ、タンク、アタッチメント類がセットになったものであれば、パーツをひとつずつ選ぶ手間が省けます。

また、レシーバーは肌に直接触れるものですし、日に何度も使うため、素材や触り心地もチェックしておくとよいでしょう。

交換可能部品は「特定福祉用具販売」の対象品目

特定福祉用具販売の対象品目についての説明

自動排泄処理装置の交換可能部品は、介護保険を利用して購入する特定福祉用具販売の対象品目です。

再利用に適さないのでレンタル不可

福祉用具に関する介護保険サービスは、レンタルする福祉用具貸与と特定福祉用具販売に大別されます。福祉用具のうち、車いすや歩行器、床ずれ防止用具などはレンタルすることができますが、腰掛便座や簡易浴槽などは購入しなければなりません。

レンタルするものと購入するものの線引きは、「再利用に適しているかどうか」という点です。排泄や入浴に用いられ、衛生面が気になるアイテムについては、再利用にはふさわしくないため買い取ることになります。

また、使い続けることで形状や品質が変化しやすいものについても、福祉用具販売の対象になります。

購入費用の9割が払い戻される

福祉用具販売を利用すると、原則的に1割負担で購入することができます(一定以上の所得がある方は、所得に応じて2割または3割負担)。例えば、2万円のレシーバーセットを購入した場合、自己負担額は2,000円となります。

ただし、福祉用具販売の給付制度は、利用者がいったん全額を支払い、その後に申請をして給付を受ける「償還払い(しょうかんばらい)」を採用しています。先ほどの例ですと、最初に2万円を支払い、申請後に18,000円が払い戻されるというわけです。

福祉用具販売を利用する場合、最初に全額負担する必要があるという点は念頭に置いておきましょう。なお、払い戻し申請の手続き方法は、お住まいの市区町村のホームページ等でご確認ください。

支給限度額は年間10万円

福祉用具販売の支給限度額は1年間で10万円までと制限があります。この限度額は購入額に対するものなのでご注意ください。 例えば、複数の福祉用具の購入金額が12万円だった場合、保険給付の対象となるのは10万円分で、残りの2万円分は自己負担となります。つまり、10万円のうち9割の9万円が支給され、自己負担額は1万円+オーバー分の2万円=3万円ということです。

自動排泄処理装置の本体はレンタルしよう

自動排泄処理装置の本体は福祉用具貸与の対象品目なので、介護保険を利用してレンタルできます。自己負担額は福祉用具購入と同じく原則1割です。レンタルの場合は、自己負担分のみを指定事業者に支払うことになります。

例えば、1ヶ月のレンタル料金が1万円の自動排泄処理装置を借りる場合、自己負担額1,000円を事業者に支払います。

交換可能部品は慎重に選ぼう

自動排泄処理装置は、寝たきり介護の排泄介助の問題を解消してくれる心強い福祉用具です。レシーバーやタンクなどの交換可能部品は、福祉用具販売を利用すれば原則として1割負担で購入できるので、介護生活に取り入れたい方は本体と一緒に検討してください。

再利用になじまない交換可能部品は買い取ることになるため、特に慎重に検討することをおすすめします。わからないことはケアマネジャーや福祉用具の専門家に相談し、介護状況に合う使いやすいものを選びましょう。

(文・吉村綾子)

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

 

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監修者:山岸駿介
監修者:山岸駿介

理学療法士。臨床経験は7年。
急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。
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