介護保険外の高齢者向けサービスには何がありますか。義母の体の負担を軽くしたいです。

質問

一人暮らしをしている78歳の義母は今のところ元気ですが、最近疲れやすいようなので心配です。少しでも負担を軽くするために、高齢者向けのサービスを利用したいです。介護保険外で利用できるサービスにはどのようなものがありますか?

 

専門家

一人暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯では、まだ介護が必要な状態にはなっていなくても気がかりなことは多いものです。各自治体では介護保険以外にも独自のサービスを実施し高齢者の日常生活を支援したり、いつまでも元気で過ごすことができるような支援を行なっています。

ここでは、高齢者向けのサービスの利用を考えている人のために、サービスの種類や利用方法、そのメリット、デメリットなどについてわかりやすく解説していきます。

介護保険外」の高齢者向けサービスとは

「介護保険外」の高齢者向けサービスとは


高齢者の生活をサポートするサービスには、介護保険サービスと介護保険外サービスがあります。介護保険外サービスとはどのようなものなのか、メリット・デメリットとともに確認しておきましょう。

介護保険サービス以外の「生活援助」

介護保険外サービスは、文字通り「介護保険サービス以外」の生活支援サービスのことです。

公的な介護保険が適用される介護保険サービスは、介護認定を受けた方の自立した生活支援を目的としており、サービスの範囲が決められています。また例外はあるものの、同居する家族がいる場合は、原則的に日常の生活支援サービスを受けることができません。

一方、介護保険外サービスは健康な高齢者や同居家族がいる場合でも利用できます。具体的なサービス内容は後述しますが、自治体や民間業者が独自にさまざまなサービスを提供しています。

メリット

介護保険外サービスには以下のようなメリットがあります。

  •  要介護認定を受けていなくても利用できる
  •  幅広いサービスが受けられる
  •  高齢者の心身の負担を軽減できる

公的な介護保険サービスを利用するには「要介護認定」を受ける必要があり、所定の訪問面接や手続きを踏む必要があります。その点、介護保険外サービスは健康な人にも提供されるため気軽に利用できます。

また、介護保険サービスと比べるとサービス内容は多岐にわたります。日常生活のちょっとした困りごとを解消できるので、高齢者の心身の負担軽減にもつながります。

要介護認定を受けている方の場合、介護保険サービスだけでは補いきれない生活の困りごとを介護保険外サービスに頼れば、生活の質の向上が期待できます。

デメリット

デメリットや注意点としては以下の2点が挙げられます。

  • 費用は全額自己負担
  •  ケアマネジャーがサービス内容を把握しているとは限らない

介護保険が適用されないので、費用は全額自己負担となります。介護保険サービスであれば原則1割負担(一定の所得以上の方は、所得に応じて2割または3割)なので、費用負担を大きく感じるかもしれません。

また、地域包括支援センターの職員やケアマネジャーが、その地域の介護保険外サービスについて把握しているとは限りません。自治体の介護保険外サービスについては知っているかもしれませんが、地域の民間業者のサービスまでは把握していない可能性があります。情報収集・比較検討はある程度ご自身で行なう必要があるでしょう。

介護保険外サービスのおもな種類

介護保険外サービスのおもな種類


では、介護保険外サービスにはどのような種類があるのでしょうか。おもなサービスをご紹介しましょう。

家事・付き添いなど日常生活のサポート

家事代行や外出の付き添いなど、日常生活全般をサポートするサービスです。具体的には、調理や掃除、洗濯、ゴミ出し、アイロンがけなどさまざまな家事に対応しています。健康でも高齢になると家事をすべてこなすのが難しい場合があるため、部分的にでもサポートしてもらえると助かるでしょう。また、買い物や病院への付き添い・介助サービスが受けられるところもあります。

配食サービス

食事を自宅まで届けるサービスです。高齢者に適した栄養バランスの食事が摂れるので、健康管理にも役立ちます。食事の準備が困難な人や寝たきりの人、食事制限がある人などが利用しています。 食事の宅配サービスはさまざまな民間業者が参入しており、サービス内容もバラエティに富んでいます。すぐに食べられる弁当・惣菜のほか、レトルトタイプや冷凍タイプなどもあるのでライフスタイルに合わせて選べます。

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見守り・コミュニケーションサービス

日々の生活の様子を見守り、声かけをするサービスです。持病を抱えた高齢者や認知症の人がいる世帯を定期的に訪問してコミュニケーションをとり、安否確認を行ないます。病気がちだと家に閉じこもりやすいですが、話し相手になることで孤独感の解消にもつながるでしょう。

送迎・移送サービス

体が不自由な方や一人で外出が困難な方のための送迎・移送サービスもあります。車いすのまま乗車できるリフト付きの介護タクシーやバスの巡回サービスなどを利用すれば、日常の行動範囲が広がります。

ansinkaigo.jp

運動・レクリエーション

高齢者が元気に生き生きと暮らせるよう、運動やレクリエーション関連のサービスを提供している自治体もあります。定期的に体づくりをすれば寝たきり予防につながりますし、レクリエーションを通じて地域の人との交流を深めることもできます。

緊急通報サービス

急に具合が悪くなったときや災害などで緊急事態に陥ったときに、民間の受信センターに通報できるサービスです。緊急通報装置をレンタル・設置することで、24時間いつでも安否確認や救助に駆けつけてもらえます。特に高齢者の一人暮らしは急病やトラブルの際に対処が遅れてしまうことがありますが、緊急通報サービスがあれば心強いでしょう。

その他

高齢者向けの介護保険外サービスには、以下のようなものもあります。

  • 訪問理美容
  • 寝具の丸洗い
  • 乾燥
  • 庭木の剪定
  • 草むしり
  • 墓参り
  • 墓掃除
  • 火災報知器の給付
  • 書類作成などの事務作業
  • 犬の散歩やペットの世話

日常の細々としたことから、体力が低下した高齢者には難しい力仕事まで幅広くサポートしてもらえます。

サービス内容や料金は自治体・業者によって異なる

利用できる介護保険外サービスや料金体系は、自治体・業者によって異なります。サービスの名称も地域や業者によって異なる場合があるため、目当てのサービスがあるかなどの詳細は電話やホームページで確認しましょう。

介護保険外サービスを利用するには

介護保険外サービスを利用するには


介護保険外サービスは介護保険サービスと比べると気軽に利用できるものの、選択肢が多いため事前の情報収集が重要です。

自治体や介護サービス業者に問合せよう

介護保険外サービスは介護保険サービスより自由度が高く、サービスの選択肢は多岐にわたります。またサービス提供者も、各自治体だけではなく地域の介護保険サービス事業者や民間業者、NPO法人などさまざま。そのため、最初はどこに依頼すればよいか迷ってしまうかもしれません。

お住いの地域の介護保険外サービスについて知るには、まず自治体の窓口や地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。地域包括支援センターの職員は地域の介護保険外サービスをすべて把握しているわけではないですが、介護保険サービスとの違いや一般的な活用方法などはアドバイスしてくれるはずです。

そのうえで、地域の民間業者のサービスに問合せをし、サービス内容や費用を比較検討しましょう。

介護保険外の高齢者支援サービスで生活にゆとりを

自立した生活をしている高齢者は、少なからず体力低下や健康面の不安を抱えています。高齢者の一人暮らしや高齢者だけの世帯であれば、その不安はなおさら大きいでしょう。

そのような場合に介護保険外サービスを利用すれば、日常生活のさまざまな困りごとを解消できます。日々の家事や体力がいる作業などをサポートしてもらうことで、心身の負担が減り、生活にもゆとりが生まれるでしょう。

介護認定を受けている方の場合、介護保険サービスと併用すれば介護を担う方の負担軽減にも役立ちます。 ご自身・ご家族が充実した毎日を送れるよう、介護保険外サービスを上手に活用しましょう。

※この記事は2020年1月時点の情報で作成しています。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。