遠距離介護をしています。介護保険の通院等乗降介助では、どこまでお願いできますか? 定期的な通院では、病院2件と薬局に立ち寄りますが、すべて介助していただけるのでしょうか? 選挙の投票や買い物でもお願いできますか?

通院等乗降介助では途中の立ち寄りもできる?

質問

質問者

遠距離介護をしています。今までは車いすの母が通院等で外出する際には、父と一緒にタクシーで移動していました。しかし、父も歩行が不安定になってきており心配です。介護保険の通院等乗降介助は利用できますか? 定期的に通院している病院が2つあり、今まで同日に通院していたのですが、お願いする際には別の日にしなくてはいけないでしょうか?

また、通院等乗降介助ではどこまでお願いできるのかを教えてください。投票や買い物に行く際にもお願いできますか? 教えてください。

 

専門家

通院等乗降介助についての質問ですね。介護保険の通院等乗降介助では、ケアマネジャーが必要だと判断すれば、介護タクシーを利用した通院等の介助を受けることができます。また、訪問介護の身体介護でも通院や外出の介助をお願いすることが可能です。同日に2つの病院に通院することもできます。ただし、制約がある介護保険サービスではなく、自費サービスを選択する方も珍しくはありません。

この記事では、通院等乗降介助で受けられるサービス内容や外出等に利用できるその他のサービスを中心に紹介します。ぜひ今後の生活の参考にしてください。

 

 

通院等乗降介助とは

通院等乗降介助について知る

まずは、通院等乗降介助の基礎知識からみていきましょう。

通院等乗降介助のサービス内容

通院等乗降介助とは、一般的に「介護タクシー」と呼ばれているサービスです。自宅から病院への通院で利用する場合には、ヘルパーが外出前の準備や乗車の介助を行い、ヘルパーが運転する車で病院へ向かいます。病院に到着後は、降車の介助や受診等の手続きまでをヘルパーが行います。帰りは、会計や薬の受け取り等や乗車の介助をしてもらい、ヘルパーが運転する車で自宅に戻り、自宅に到着後には降車の介助や帰宅後の介助までをしてもらいます。行きで1回、帰りで1回のサービスです。

外出前の準備や自宅に戻ってからの介助などは、あわせて20分以内におさまる必要があります。また、車内で介助が必要な方は利用できません。

費用は「運賃」+「介護保険サービス費用」です。介護保険サービス費用は、運転中の時間に関わらず1回99円(*1)です。往路と復路でそれぞれ1回となります。往路のみヘルパーに依頼し、復路は家族が対応することも可能です。「普段は杖歩行だけれど、通院時には車いすを借りたい」、「移動にはストレッチャーが必要」などの場合には、別途福祉用具のレンタル費用が掛かります。

(*1) ※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。時間帯(早朝・深夜)やサービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

通院等乗降介助でお願いできないこと

診察を待つ時間の付き添いや診察中の時間は医療保険の範囲であるため、介護保険サービスは原則として併用できません。ただし、院内での待ち時間に付き添いが必要な状態だとケアマネジャーが判断し、病院側による対応が難しい場合には、病院内であってもヘルパーに付き添いをお願いできます。

例えば、家族や顔見知りのヘルパーがいないと不安になってしまう方、認知症などで常に見守りが必要な方、待ち時間に排泄介助などの身体介護が必要な方などに、病院側の人員で対応できなければ、ヘルパーの院内の付き添いが認められます。その場合、院内介助は通院等のための乗車または降車の介助として扱われます。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

通院等乗降介助の対象者

通院等乗降介助は、要介護1から5の方で、原則として定期的な通院が必要な方が対象です。

在宅で生活している方をサポートするためのサービスであるため、介護施設に長期入所している方は対象外となります。

通院等乗降介助でお願いできること

通院等乗降介助ではどんなお願いができる?

続いて、通院等乗降介助でお願いできることを見てみましょう。

通院等

通院等乗降介助で認められるのは、原則として定期的な通院となります。急に通院が必要になった際に利用できるかどうかの基準は、市町村によって異なるので、詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

原則として、自宅と病院間の移動が対象ですが、2021(令和3)年の改正で以下も認められるようになりました。

  • 病院から病院への移動
  • 通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護(ショートステイ)の事業所を発着とする移動
  • 入院や退院にかかる移動

つまり、質問者さんのように1日に2つの病院を移動したい時にも利用可能です。

外出

通院等乗降介助では、ケアマネジャーが必要だと判断すれば、日常生活に必要な買い物や預金の引き下ろし、選挙、介護の申請などでも利用が可能です。

通院等乗降介助の対象外のサービスをお願いしたい時

通院等乗降介助の対象外サービスを依頼するには?

それでは、通院等乗降介助の対象外となるサービスをお願いしたい場合には、どのような手段があるのかを見ていきましょう。

訪問介護の身体介護

外出前の準備や帰宅後の介助などに合計で20分以上の時間がかかる場合や、徒歩や車いすを押して病院に向かう場合、タクシーや公共交通機関を利用している間も介助が必要な場合には、訪問介護の身体介護を利用するようになります。

自費サービス

介護保険を利用した通院介助や待ち時間の付き添いが不要だと判断されたものの、念のためヘルパーについていて欲しいという方、診察中に家族からの普段の様子などの伝言をお願いしたい方、自宅ではなく親戚や知人の家に送迎をして欲しい方は、自費サービスで利用するようになります。

組み合わせた利用も

院内や診察室の付き添いなど、介護保険でカバーできない部分だけを自費にして、あとは介護保険を利用することも可能です。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

まとめ

通院等乗降介助についてまとめました。通院介助は時間がかかるため、家族の負担も大きいものです。2021年からは、要件も緩和されて使いやすくなりましたが、それでも制約が多いため、外出前の準備からすべて自費で通院介助を利用している方も少なくはありません。

また、本人にとっても通院が負担になっているようであれば、医師が定期的に自宅を訪れる訪問診療を検討してみてもいいでしょう。

この記事が、通院でお困りの方、遠距離介護の方のお役に立てれば幸いです。

※この記事は2021年12月時点の情報で作成しています。

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ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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