認知症の理解・判断力の障害とは 原因や対応方法を知ろう!

認知症の理解・判断力の障害とは

理解・判断力の障害は、認知症の中核症状のひとつです。症状は幅広く、事故にあう危険性や他人に迷惑をかけてしまうこともあります。また、家族が認知症に気づくきっかけになることもある症状です。この記事ではその症状や対応方法などをまとめています。ぜひご参考ください。

 

認知症の理解・判断力の障害とは

認知症の理解・判断力の障害について

認知症の中核症状に、適切な理解や判断が難しくなる理解・判断力の障害があります。日常でも頭の中が真っ白になって理解や判断ができなくなることは誰でも経験したことがあるかもしれませんが、認知症では通常の範囲を超えた症状として現れます。

認知症の中核症状とは

認知症の中核症状とは、認知症によって脳の細胞が失われ、働きが低下することで起こる症状のことです。中核症状には他に、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語・失行・失認などがあります。

認知症には中核症状の他に、環境やその人の性格によって異なった症状が現れる行動・心理症状(BPSD)があります。

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理解・判断力の低下の5つの症状

理解・判断力低下の五つの症状

 

認知症による理解や判断力の障害では、次のような症状が現れます。

考えるスピードの低下

考えるスピードは遅くなりますが、考えられなくなるわけではありません。時間があれば、結論を出すことができます。

2つ以上のことを一度に処理できない

一度に処理できる情報が限られてしまうため、電話をしながらメモを取る、レシピを見ながら料理をするなど、2つ以上のことを同時に処理できなくなります。

変化が苦手に

本人にとって予想外のことが起こった時や家族が入院した時など、いつもと違う出来事をきっかけに不自然な行動をしてしまいます。周囲が認知症に気づくきっかけになることも多い症状です。

観念的な事柄が分かりにくくなる

目に見えないメカニズムが分からなくなるため、銀行のATMなどの操作や駅の自動改札機で戸惑ってしまうことがあります。また、目の前におまんじゅうがある状態で「甘いものある?」と聞かれても、甘いものとおまんじゅうが結びつかずに答えられなくなったり、季節やTPOに合わせた服のコーディネートができなくなったりします。

お金を払わないのが悪いことだと判断できずにお店のものを持ってきてしまったり、危険が判断できずに道に飛び出したりすることがあるので注意が必要です。

問題が解決できない

何か困ったことが起きても、どうやって解決したらいいのかがわかりません。例えば「水道が壊れた時に水道屋さんに電話をする」「失禁した後に片付ける」ということが難しくなります。

認知症の理解・判断力の障害への対応方法

認知症の理解・判断力の障害の対処方法

 

認知症のため理解力や判断力の障害のある方には、どのように対応したらいいのでしょうか。すぐにでも実践できる対応方法をまとめます。

あいまいな表現を避けてシンプルに伝える

「暖かい格好をして」と言われてもどんな格好をしていいかわからないため、「セーターを着て」と具体的に伝える必要があります。 理解・判断力の障害がある方に何かを説明する際には、1つずつシンプルに伝える必要があります。例えば「最近、腰がいつもよりも痛そうで心配だから、明日は検査を受けに病院に行くよ」と言うよりも、「明日は腰痛の薬をもらいに行くよ」と伝えましょう。

特に大切なことを説明しようとすると、なぜ大切なのか、どうしたらいいのか、しなかったらどうなるのか…と説明は長くなってしまいがちです。大切なことこそ、シンプルに伝えるようにしましょう。

また、早口を避けてゆっくり話すのもポイントです。

ゆっくり待つ

理解・判断力の障害がある方は、考えるスピードが遅くなるため、質問をして答えが返ってくるまでに時間がかかります。時間をかければ自分で結論を出せるので、ゆっくりと答えを待ちましょう。

介護サービスを利用する

理解・判断力の障害が出ると、万引きなどの犯罪を悪気なく起こしてしまったり、信号を無視して事故に遭いかねない行動をしてしまったり、他人に失礼な発言や暴言を出したりしてしまいます。他人やお店に迷惑をかける行為や事故を避けるためにも、ひとりでは外出しないように家族の誰かが付き添うようにしましょう。難しい場合には、ヘルパーと買い物に行く、訪問リハビリで散歩に行くなどの介護サービスを利用するのがおすすめです。

夏に冬服を着て熱中症になることを避けるためには、夏になる前に冬服をしまっておく必要があります。衣替えを家族が行うのが難しい場合には、全額自費になってしまいますがヘルパーにお願いすることもできます。

また、困ったことがあっても人の手を借りて問題を解決することができないため、できるだけ毎日様子を確認しましょう。難しい場合には、介護サービスを毎日利用したり、地域のボランティアを利用したりすることもできます。詳しくはケアマネジャーにご相談ください。

怒ったり責めたりはNG

他人に迷惑をかけたり怒らせたりする行動や発言をしてしまっても、本人は良いこと悪いことの判断ができていないため、怒ったり責めたりするのは避けましょう。怒られた出来事は忘れてしまっても、ネガティブな感情は残ってしまい、介護拒否や認知症の症状の進行につながることがあります。

本人は決して相手を怒らせたり困らせたりするつもりではなく、認知症の症状であることを理解して、くれぐれも振り回されないようにしましょう。怒ってしまいそうになったら、その場を離れて冷静になる時間をつくるのも大切です。

認知症による理解力や判断力の障害の予防と改善方法

認知症による理解・判断力の障害の予防と改善

 

理解・判断力の障害を予防や改善するにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか。

認知症自体の予防を

認知症による理解・判断力の障害は認知症によって脳の細胞が失われ、働きが低下することで起こる症状です。理解・判断力の障害を予防するためには、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をしっかり管理する、身体を動かす、栄養バランスの整った食事をする、他人と交流するなど、認知症の予防を目指した生活を送るようにしましょう。

早期診断と治療が大切

理解・判断力の障害のような症状が現れたら、病院で診断を受けるようにしましょう。認知症の薬物療法は、脳の神経細胞がある程度維持されている初期のうちに始めた方が、改善する可能性が高いと言われています。

まとめ

相手の言っていることが理解できなくなったり、問題を解決できなくなる、機械を操作できなくなるといった理解・判断力の障害は、認知症により脳の働きが低下して出てくる症状です。

オシャレが好きなのに変な格好をしている、ATMや自動改札機の前で戸惑うようになった、あいまいな表現が伝わらなくなった、お店のものを勝手に持ってきてしまった…など、理解・判断力の障害による症状は多岐に渡ります。「もしかしたら」と思ったら、早めに病院を受診するようにしましょう。早期のうちから治療をすることで、改善を目指すことができます。

理解・判断力の障害が出てきても、症状に合わせた対応をすることで、自立した生活を送ることが可能です。ケアマネジャーなどの専門家に相談しながら、上手に理解・判断力の障害と付き合いましょう。

※この記事は2020年5月時点の情報で作成しています。

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監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。