高齢の親と自分自身の認知症予防について気になっています。家でもできて簡単に続けられそうなトレーニング方法を教えてください。

質問

質問者高齢の親と暮らしています。まだ認知症ではありませんが、以前よりも頭も身体も衰えてきているのではないかと気になっています。自分についても将来が不安です。最近物忘れが多くなってきたような気がしています。何か家でもできて続けられそうな方法はありますか?コグニサイズというトレーニング法を聞いたことがあります。とても効果があるようですが、難しいのでしょうか?

 

専門家

日常生活の中に適度な運動を取り入れることは認知症の予防策のひとつとして有効です。「コグニサイズ™」とは国立長寿医療研究センターによって開発された、認知症予防を目的とする運動や認知トレーニングの総称です。全身を使った運動と、脳トレのように簡単な課題をクリアするのではなく、少し考えなければ解けないような課題を実施します。適度に身体や脳に負荷をかけることが、認知症の予防につながると考えられています。

ここでは、認知症予防のために運動やトレーニングが重要な理由、また具体的な実施方法についてご紹介します。

 

認知症になりやすい人の特徴とは?

認知症になりやすい人の特徴とは認知症の原因は未だ解明のための研究の途中にありますが、認知症になりやすい傾向についてはある程度わかってきています。初めに認知症になりやすい人の特徴を見ておきましょう。

身体的不活動が原因のトップに

認知症の中でも多く見られるアルツハイマー病の危険因子の第1位が、身体的不活動です。

これは認知症の発症に関わるうつや喫煙・高血圧などを押さえ、突出した原因となっています。

外に出かけず、家事などの活動もしないまま、一日中ほぼ同じ場所でテレビを見ている。立ち上がることが少なく、ソファに腰かけていることが多い。

そうした日常生活を送るうちに、認知症が進行してしまうという可能性があります。 適度な運動や日常生活の中での活動をバランス良く行えば、認知症発症のリスクがそれだけ軽減されます。

そもそも認知症の原因は?

認知症の原因は、完全に解明されているわけではありません。同じような状況に置かれていても、発症の状態は個人によって変わります。

一般的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 遺伝子的な要因
  • 社会経済
  • 生活習慣
  • 老年症候群

経済的、家庭的な事情による食事内容の偏りや、喫煙・飲酒・運動不足といった生活習慣、転倒や対人交流などの減少などの老年症候群。こうしたさまざまな要因が複合的に重なって、認知症に至ると考えられています。

認知症を遠ざける因子

認知症を完全に防ぐことは難しいとしても、遠ざけるための行動は可能です。

記憶力や思考力の衰えを防止するための学習や訓練は、脳の活動の活性化に役立ちます。

きちんとした服薬管理は持病の進行を遅らせ、老年症候群を回避します。

バランスの良い正しい食生活を心がけることで、脳に栄養を行きわたらせ、筋力の低下を防ぎます。

定期的な運動、積極的な外出や人との交流など活動的な日常生活は、人生に楽しみと活力を与え、認知症防止に貢献します。

トレーニングで認知症は予防できる?

トレーニングで認知症は予防できる?

頭と身体のトレーニングは、認知症予防に大きな効果があることがわかってきました。運動や体操、脳への刺激は認知症を防ぎ健康を維持する手段であると言えます。

アルツハイマー型認知症の予防と運動の関係

認知症の原因となる病気には、アルツハイマーと脳血管の疾患などがあります。

まだ認知症ではないけれど、認知機能が低下する状態を軽度認知障害(MCI)と呼び、アルツハイマーに移行する可能性が高いと言われています。

現在このMCIは860万人以上と見られていますが、トレーニングによって適切な介入がなされ、5年ほどで回復した例も報告されています。

医療による治療以外で、適切な運動やトレーニングは、予防・改善の中核を担います。

実際に、リハビリの現場では認知反応の向上が見られるケースが多くあります。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターが行った有酸素運動を取り入れた検証でも、明らかな効果があったとしています。

このことから運動の中でも特に有酸素運動が、アルツハイマー病発症と大きな関連性があり、認知症予防に有効な方法であると言えます。

完全な認知症になってしまうと著しい回復は難しくなりますが、MCIやそれ以前の段階であれば、十分な予防効果が期待できます。

「コグニサイズ™」の開発

脳と身体をきたえるのに適した方法として考案されたのが、「コグニサイズ™」です。

コグニション(認知)とエクササイズ(運動)が合わさってできたことばで、国立長寿医療研究センターによって開発された運動と認知トレーニングの組み合わせです。

有酸素運動・筋力アップトレーニングと同時に、数をかぞえたりしりとりや計算を行ったりすることで、頭と身体を同時に使います。

慣れてきたら次第に難易度を上げていき、さらに脳の活性化を図ります。

認知症予防トレーニングの実施方法

認知症予防トレーニングの実施方法

脳と身体のトレーニングが良いと理解していても、なかなか実践するのが難しいと考えてしまいます。ここでは簡単にできる認知症予防トレーニングの方法をご紹介します。

自宅でもできる「コグニサイズ™」

先の「コグニサイズ™」は公民館などでも開催していますが、簡単なものならば自宅でも実施が可能です。

例えば足踏みしながら3の倍数で手をたたくという動作を行い、うまくできるようになったらステップに変えます。また倍数の数を、4、5と変えていくことで新たな挑戦となります。

またステップをしながらしりとりをするのも、身体を使いながら脳への刺激となります。家族みんなで、楽しく遊んでみましょう。

コグニサイズとは 頭と体を使う認知症予防 | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

座ったままでもできる簡単トレーニング

立ち上がりや歩行に問題がある場合には、座ったままでもできるトレーニングを行いましょう。

グーチョキパーをしながら交互に手を前に突き出します。最初は右左同じ動作から始め、慣れてきたらグーチョキパーをずらしてみましょう。

簡単な童謡に合わせてリズムを取りながら行えば、楽しく飽きずにくり返せます。

ネット上の脳トレを活用

インターネット上では、楽しみながら頭の体操になるパズルがたくさん提供されています。解答がその場でわかるので、何問正解できるのかの励みにもなります。

パソコンなどの操作が難しい場合には、家族が手伝いながら一緒に行うようにすると会話も弾みます。

認知症予防トレーニングの注意点

認知症予防トレーニングの注意点

認知症予防トレーニングを行う際の注意点を見ていきましょう。

適正な強度で運動する

高齢者は軽い運動でも負担になる場合があります。

運動をする前に心拍数や血圧を測り、無理をしない程度で実施します。

いきなり動き出さずに、背伸びから始めたり軽くストレッチをしたりすると、どこかを傷めてしまうといったことが予防できます。

真面目な人ほどムキになりやすいものです。家族が見守りながら、適度な運動になるよう促してください。

徐々に難易度を上げる

身体の機能に問題がない場合には、ややきついと感じる程度の負荷をかけると効果的です。骨や筋に負担がかかるような無理な動きではなく、息が弾む、うっすら汗をかくといったことを目安にすると良いでしょう。

脳・身体のトレーニングとも、クリアできたら次の課題に上げていくようにすると、本人のやる気を引き出せます。

継続する

認知症予防のトレーニングは、一度の実施で効果が出るものではありません。

ごく簡単なことでも毎日の継続が重要です。

身体を動かすときには、飽きないように複数の動きを組み合わせる、インターネットの動画を見るなどしてレパートリーを増やしていきましょう。

ラジオ体操のように時間を決める、グループや家族で行うなどで実施するといった工夫をしながら、続けられるよう促してください。

頭と身体をバランス良く使う

年齢を重ねると動くのが億劫になり、家にいてほとんど動かないという人も増えてきます。認知症の予防には、身体をまんべんなく使うことが有効です。加えて動作と共に脳を刺激すると、一層効果が高まります。しかし高齢者にただ「動け」と言っても続けるのは困難です。家族が一緒に体操したり、ゲームのように行ったりすることで、認知症予防の対策となります。本人が楽しみながら継続できるように、家族みんなでサポートしていきましょう。

※この記事は2019年12月時点の情報で作成しています。

>>認知症になっても、ゲームやレクで悪化を予防できますか?

 

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。