認知症になっても、ゲームやレクで悪化を予防できますか?

質問

質問者父が軽度の認知症と診断されました。自宅で簡単なゲームやレクリエーションをやってみたら?と友人に言われましたが、認知症になっても効果があるのでしょうか。
手軽で、楽しみながら悪化を予防できるものがあれば、ぜひ取り入れたいです。

 

 

専門家

デイサービスなどでは、認知症の悪化を予防するためにゲームやレクが行なわれています。適度に体を動かす運動や、頭を使って脳を刺激すること、他の参加者と共に楽しむことが、認知症の予防に役立つと考えられているためです。

自宅でゲームやレクなどを取り入れる場合は、ご本人が楽しめるものや、家族も一緒に行なえるものが認知症の予防につなげられるでしょう。

ここでは、ゲームやレクが認知症の予防に期待できる効果や選ぶ際のポイントをご紹介します。

 

認知症の悪化を防ぐ!ゲームやレクに期待できる効果

認知症の悪化を防ぐレク

認知症の進行を防ぐために、デイサービスやグループホームなどの施設ではゲームやレクリエーションなどを積極的に取り入れています。認知症予防にどのような効果があるのでしょうか。

脳が活性化する

まず、ゲームやレクをすると脳の活性化が期待できます。脳細胞は年齢と共に減少し、健康な人でも記憶力や思考力が低下していきます。失われた脳細胞は再生されることはありませんが、良い刺激を与えれば脳神経のネットワークが強くなり、脳機能低下を防げると考えられています。

ゲームやレクは、言葉や手先、体を使うものが多く、普段あまり使われていない脳の部位を活性化してくれます。脳への良い刺激は、すでに認知症を発症している方の進行を遅らせる効果も期待できます。

身体機能がアップする

適度に体を動かすゲームやレクは、身体機能の向上にもつながります。

年齢を重ねると健康な人でも体力や筋力が衰えるものですが、認知症になると通常より活動量が低下し、身体機能が急激に衰えやすくなります。身体機能の低下は転倒による骨折を招きやすく、寝たきりになる可能性を高めてしまうため要注意です。

その点、ゲームやレクで楽しみながら適度に手足を動かせば、体力・身体機能の向上が見込めます。

人との関わりが増える

人とのコミュニケーションは脳に刺激を与え、脳機能の低下を防ぐことにも役立ちます。

認知症になると人との関わりが面倒になり、引きこもりがちになる人が多いです。そして、コミュニケーションが極端に少ない生活は認知機能のさらなる低下を招きます。

ゲームやレクを一緒に楽しむ仲間がいれば、自然とコミュニケーションが増えて脳の活性化につながります。ゲームやレクの面白さに加え、人との関わりを楽しめるようになれば、引きこもり傾向も改善するかもしれません。

生活にハリが出る

ゲームやレクは脳機能や身体機能の向上だけではなく、ご本人の精神状態にも良い作用が期待できます。

ゲームやレクは自然と笑顔になれるものが多く、「楽しい」「またやりたい」とポジティブな気持ちにもなりやすいです。認知症の方の生活は単調になりがちですが、ゲームやレクを取り入れると生活にハリが出て、心身に好影響を与えられるでしょう。

また、認知症の方の心身が安定すれば、介護をする方の負担軽減にもつながります。

認知症の方におすすめのゲーム・レク

認知症におすすめのゲーム・レク

次に、認知症の悪化予防に役立つゲーム・レクの一例をご紹介します。

簡単なパズルやクイズ

少ないピースで完成できる簡単なパズルは、認知機能の向上におすすめです。完成図をイメージしながら「このピースが合うかどうか」を考え、指先を使って当てはめていく作業は様々な部位に刺激を与えます。そして、完成したときに感じる喜びや達成感も、脳に良い作用があります。

簡単ななぞなぞやしりとりも脳を活性化できます。想像力や思考力の鍛錬になりますし、言葉を使った遊びなので言語能力の向上にもつながります。しりとりは「食べ物だけ」「4文字の言葉だけ」などのルールを加えると飽きにくく、一歩踏み込んで考える力を高められます。

最近は、手軽に「脳トレ」ができるアプリも登場しています。認知症が進んだ方が使うのは難しいかもしれませんが、軽度の方であれば、スマホやタブレットで楽しくトレーニングすることができます。アプリなら場所を選ばず、ひとりでもできるので、自宅でも取り入れやすいでしょう。

手先を使ったゲーム

手先を使ったゲームも脳の活性化に効果的だと言われています。例えば、手の形をイメージ通りに瞬時に変えるじゃんけんは、高齢者の方も手軽に楽しめます。複数の人と順にじゃんけんをし、勝ったらバンザイをするといったジェスチャーを加えると、さらに効果的です。

先にこちらがグーチョキパーを出し、それに対して勝つようにグーチョキパーを考えて出す「後出しじゃんけん」もおすすめです。ひとり遊びが好きな方の場合は、指先を細かい動きが求められる折り紙や塗り絵も良いでしょう。

適度に体を動かすレク

体力の向上も図りたい場合は、体全体を使うレクリエーションを取り入れましょう。

おすすめは風船を使ったレクです。例えば、少し離れた場所に箱やカゴを置いて風船を投げ入れるゲームや、うちわを使って風船を打ち合うゲームなどです。軽くてゆっくり動く風船なら、高齢の方でも安全に楽しめます。

歌やリズムに合わせて手を叩いたり、足を動かしたりする簡単なダンスや、定番のラジオ体操は心肺機能を高め、体力向上につながります。

ゲームやレクを取り入れる際の注意点

ゲームやレクを取り入れる際の注意点

認知症の方とゲームやレクをする場合は、以下のような点に気をつけましょう。

身体状況や好みに合ったものを

ゲームやレクは、ご本人の身体状況に合うものを選ぶようにしてください。高齢になると体の可動域が狭くなり、筋力も低下します。そのため、若い人にとっては簡単な動きでも、高齢者にとってはとても難しい場合がよくあります。ご本人の身体能力を超えた動きがあると怪我につながるため、「無理なく動けるかどうか」は基本ポイントとして押さえておきましょう。

また、好みに合わないゲームをしても、ご本人は楽しくありません。ゲームやレクをするときは、表情をチェックしたり感想を聞いたりして、好みを確認しておくことをおすすめします。静かな時間を大切にしたい方の場合は、ひとりで楽しめる脳トレ系のアプリを取り入れると良いかもしれません。

ルールはシンプルに

複雑なルールのゲームやレクは、認知症の方には不向きです。どんなに脳を活性化する効果が高くても、遊び方が理解できなければ楽しむことができません。ルールはなるべくシンプルにして、認知機能が衰えた方でも無理なく参加できるようにしましょう。

様子を見て簡単すぎると感じたら、段階的に新たなルールを加えるのがおすすめです。

勝敗にこだわらない

勝ち負けにこだわらないことも重要なポイントです。結果的に勝ち負けがあるゲームでも、そこに焦点を当てると、負けた方のプライドを傷つけてしまう場合があります。 ゲームやレクの目的は勝敗ではなく、ゲーム自体を楽しむことを通じて心身に良い影響を与え、認知症の悪化を防ぐためのものです。そのため、勝っても負けてもいい気分になれるよう、声かけ等に気をつけましょう。

参加を強制しない

ゲームやレクをするのは、ご本人の意欲があるときだけにしましょう。認知症になると精神的な起伏が大きくなりやすく、「昨日は楽しそうにやっていたのに、今日は嫌がる」ということもあります。

「昨日もやったから今日もやろう」と参加を強制すると、ゲームやレクにネガティブなイメージを持ってしまうかもしれないので、本人の意思を尊重するようにしてください。

ゲームやレクを介護生活に取り入れよう

認知症は進行する病気なので、放っておくと症状は悪化する一方です。しかし、脳の活性化や身体機能の向上に役立つゲームやレクを取り入れれば、進行を遅らせられる可能性があります。

認知症を予防できるゲームやレクの種類は多岐にわたり、期待できる効果もそれぞれ異なります。ご本人の認知機能や身体状況に合っていて、なおかつご本人も「楽しい」と思えるものを選ぶことが心身の活性化につながります。

無理なく楽しめるゲームやレクを取り入れて、介護生活にハリを与えましょう。

 (文・吉村綾子)

※この記事は2019年12月時点の情報で作成しています。

>>高齢の親と自分自身の認知症予防について気になっています。家でもできて簡単に続けられそうなトレーニング方法を教えてください。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。