認知症になった母を家族でサポートしています。在宅介護を続けるための心構えやコツを教えてください。

質問

認知症になった80代の母と同居を始め、私たち夫婦と娘でサポートしています。まだ軽度なので、できる限り在宅介護を続けるつもりですが、不安もあります。在宅介護を無理なく続ける心構えやコツがあれば、アドバイスいただけないでしょうか。

 

専門家認知症の方の介護では、予測していなかった出来事や理解できない行動を目の当たりにすることがあるため、介護者には様々なストレスがかかります。家族だけで頑張ろうとすると無理が生じて、さらにストレスが増大するという悪循環に陥ってしまいます。

介護サービスを上手に利用し、困ったときにはいつでも相談できる体制を作っておくようにしましょう。

ここでは、認知症の方の在宅介護を行なうにあたっての心構えや介護のコツをご紹介します。

ご家族の負担が大きい認知症介護

ご家族の負担が大きい認知症介護



認知症になると生活に支障が出てくることが多く、サポートするご家族の心身の負担は大きくなりやすいです。認知症介護の難しさは、どんなところにあるのでしょうか。

認知症介護は終わりが見えない

認知症介護を担うご家族には「いつまで続くかわからない」という漠然とした不安感があります。認知症は進行性の病気なので、いったん発症して症状が進むと、自立した日常生活を送ることが徐々に難しくなります。

認知症介護の期間は長期化することが多く、平均6〜7年ともいわれています。介護期間が10年以上に及ぶことも珍しくありませんから、介護を始めた当初は症状が軽くても、年を追うごとに生活への影響度やご家族の負担は大きくなるでしょう。

そのため、認知症の方の在宅介護を始める際は、長期化に備えた体制作りについても検討しておくことが大切です。

家族だけで抱え込まないことが大切

認知症介護を家族だけで完結しようとすると、介護を担う方が徐々に疲弊してしまいます。

介護生活が5年10年続けば、介護をするご家族もそれだけ年齢を重ねることになります。最初は「自分が頑張れば大丈夫」と思っても、年齢とともに思うように対処できなくなるでしょう。

また、「介護を他人に任せたくない」「認知症の家族がいることを知られたくない」といった気持ちがご家族にある場合も要注意です。「家族だけでなんとかしよう」という気持ちが強く、介護中心の生活なると、周囲とのつながりが薄れて孤立する可能性が高まってしまいます。

知っておきたい認知症介護の心構えと接し方

知っておきたい認知症介護の心構えと接し方

在宅介護をするにあたっては、ある種の心の準備が必要です。

認知症介護にはどのような心構えが必要で、ご本人にどのような接し方をすればいいのか確認しておきましょう。

認知症になると理解しがたい言動が増える

まず、念頭に置いておきたいのは「認知症の人は理解しがたい言動をする」という点です。

認知症というと、記憶が保てなくなる記憶障害のイメージが強いかもしれませんが、それ以外にも以下のような様々な症状があります。

  • 見当識障害(日にちや自分がいる場所がわからなくなること)
  • 理解力や判断力の低下 ・徘徊(うろうろと歩き回ること)
  • 気分の落ち込み
  • 妄想、思い込み
  • 暴言、暴力

認知症になると、もともと温厚だった人が暴言を言ったり、暴力を振るったりするようになることがあります。言動の変化を目の当たりにすると、ご家族は「性格がきつくなってしまった」と思われるでしょうが、これは病気の影響なのです。

認知症の症状の現れ方には個人差がありますが、進行すると複数の症状が出てくるケースが多く、不可解に感じる場面が増えるでしょう。ですが、それらは脳の機能低下によって引き起こされている症状です。

そのことを念頭に置いておけば、不可解な言動も受け入れやすくなるでしょう。

家族に対して症状が強く出やすい

認知症は、身近な人や家族に対して症状が強く出る傾向があります。

普段、家族の前では不可解な言動が多く、身の回りのこともサポートがないとできない状態でも、来客があるときはしっかり対応するというケースはよくあります。そのため、ご家族は普段の苦労を周囲になかなか理解してもらえず、悩みを深めてしまいがちです。

身近な人の前だと症状が強く出る原因は不明です。特に認知症の初期段階は、正常な状態とそうでない状態が交互に現れることが多く、ご本人もご家族も混乱しやすいです。

症状に起伏があり、他人の前だと症状が出にくくなる傾向は、介護の専門家も認識しています。そのため、医師や介護認定の調査員との面談がある際は、その場の受け答えだけで判断してもらうのではなく、普段の様子も伝えるようにしましょう。

自尊心や感情は残っている

認知症の方は、ついさっき起きた出来事も忘れてしまいますが、そのときの感情は残っていることが多いです。例えば、何か失敗をして叱られた場合、失敗したことは忘れても「叱られたときの嫌な気持ち」はしばらく残っているようです。

ご本人にネガティブな感情が残ると、介護者に対する信頼感が損なわれ、スムーズに介護ができなくなる場合も。認知症になっても、人としての感情が残っていることは頭に入れておきましょう。

また、認知症の方にも自尊心があります。「自分を良く見せたい」「恥をかきたくない」といった自尊の気持ちは残っていることが多いので、プライドを傷つけないように配慮することも大切です。

認知症の特徴をふまえた接し方を

認知症の方に対しては、病気の特徴をふまえて以下のような接し方を心がけましょう。

  • 共感する
  • 受け入れる(否定しない)
  • 説得しない
  • ささいなことでも感謝する
  • ほかのことに関心を向ける(場面転換)

先述の通り、認知症になると不可解な言動が増えます。ですが、それに対して否定や説得の言葉ばかり投げかけていると、ネガティブな感情が残り逆効果になりやすいです。

認知症の方に接するときは、前提として「受け入れる気持ち」を保つようにしましょう。「そうなんだね」「大変だったね」などの共感・同情を示す相づちをうち、ご本人のこだわりや言動の矛盾には目をつむりましょう。

また、ささいなことでも、何かしてくれたときには「ありがとう」「助かったよ」と感謝の言葉を投げかけてください。そうすれば、ご本人にポジティブな感情が残り、症状が落ち着く場合があります。

介護を頑張りすぎないためのポイント

介護を頑張りすぎないためのポイント

ご家族だけで介護を頑張りすぎると、介護疲れが蓄積して共倒れするリスクがあります。そうならないためにも、以下に挙げるポイントを意識・実践しましょう。

介護の専門家に相談する

認知症介護をすることになったら、まずは市区町村の窓口(高齢者福祉課など)や地域包括支援センターに相談しましょう。

地域包括支援センターでは介護にまつわる様々な相談をすることができ、介護保険の申請も行なえます。介護の専門家である社会福祉士やケアマネジャーが、専門家の視点からアドバイスやサポートをしてくれるので心強いでしょう。

介護保険サービス・施設を利用する

ご家族の負担を軽減するためにも、介護保険サービスを利用しましょう。

介護保険サービスには様々な種類があり、必要に応じて在宅サービスや施設サービスなどを選べます。サービスを利用するには要介護認定を受ける必要がありますが、認定を受ければケアマネジャーに相談しながら最適な介護計画(ケアプラン)を立てられます。

訪問介護やデイサービスなどを利用すれば、ご本人は適切な介護サービスが受けられますし、ご家族にも時間的なゆとりが生まれます。

自分をいたわる時間を作る

無理なく介護生活を続けるには、自分をいたわる時間を作ることも大切です。介護中心の生活になると自分のことは後回しになりがちですが、介護が長期化すると精神的な疲労も相当溜まってしまいます。

介護保険サービスを上手に利用すれば、趣味や外出の時間を作れるようになりリフレッシュできます。ご家族で介護に向き合い続けるためにも、適度な息抜きを心がけてください。

専門家のサポートを受け、介護の長期化に備えよう

認知症介護は、ご家族だけで抱え込まないことが何より大切です。在宅介護は身体的・精神的な負担が大きいですし、周囲から孤立すると介護に役立つ情報も入りにくくなってしまいます。

ご本人に適切な介護環境を提供するため、ご家族の負担を軽減するためにも、早めに介護の専門家に相談しましょう。早期にサポート体制を整えておけば、介護生活が長期化しても無理なく対処できるようになるはずです。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。