父が認知症と診断されました。利用できる介護保険サービスは、要介護認定の結果によって変わるのでしょうか?

質問

質問者82歳の父が認知症と診断され、介護保険サービスの利用を考えています。サービスを受けるには要介護の認定を受ける必要があるようですが、どのような調査ですか。また、認定結果によって利用できるサービスは変わるのでしょうか?

 

 

専門家認知症と診断されたとしても、適切な介護サービスを利用すれば、認知症の進行予防や介護負担の軽減に役立ちます。

介護サービスを利用するには、事前に要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、調査員が本人と面談する「認定調査」と、主治医から提出される「主治医意見書」によって行なわれ、介護度が決定します。介護度は「要支援1・2」「要介護1~5」の7段階に分類され、介護度によって利用できるサービスや利用回数などが変わってきます。

ここでは、要介護認定を受けるための申請方法や、認定後スムーズに介護サービスの利用を開始する方法を解説していきます。

要介護認定」はなぜ必要?

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さまざまな介護保険サービスを受けるには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。

介護保険サービスは40歳以上の方が利用できますが、要介護認定をあらかじめ受けていなければ実際にサービスを利用することはできません。

具体的な申請方法などを見ていく前に、まずは要介護認定の基本概要をチェックしておきましょう。

介護サービスの必要度を判断する基準

要介護認定は、申請者ごとに「どのような介護サービスを、どの程度提供する必要があるか」を判定する審査です。

介護保険サービスの種類は多岐にわたり、サポートの範囲・レベルもさまざまです。そのため、申請者の病気の重さやサポートの必要度に見合うサービスを提供できるよう、サービスごとに対象者の基準が設けられています。

7段階に分類される

要介護認定は、要支援1、2および要介護1〜5の7段階に区分されています。

要支援は、身の回りのことは大体自分でできるものの、要介護への移行を防ぐために何らかの支援を要する方が対象です。要介護と比べるとサポートの必要度が低く、利用できる介護サービスの範囲も限られます。

また、数字は大きいほど必要な支援や介護の度合いも大きくなり、利用できる介護サービスの選択肢も増えます。例えば、要介護1は部分的な介護を受ければ問題なく生活できる状態ですが、要介護5は、全面的な介護なしでは日常生活を送るのが不可能な状態です。

なお、日常生活における基本動作や「電話をかける」「薬を服用する」などの行動をほぼ問題なく行なうことができる方は、介護保険サービスの必要性がかなり低い「自立(非該当)」と判定されます。

認知症要介護認定の申請方法

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認知症と診断されて要介護認定を受けたい方は、お住まいの市区町村の窓口に申請しましょう。申請方法や認定調査の内容は以下の通りです。

申請に必要なもの・手順

要介護認定の申請には以下のような書類が必要です。

  • 申請書
  • 介護保険の被保険証(65歳以上の方)
  • 健康保険の保険証(40〜64歳の方)

申請書は市区町村の窓口やホームページで入手できます。

また、後述する主治医意見書は市区町村が依頼するので、医療機関の名称や住所が記載されている診察券などの提示を求められる場合もあります。

申請は、本人の代わりに家族や親族が行なうことも可能です。サポートしてもらえる人が身近にいない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に代行してもらいましょう。

認定調査の内容

要介護度は、以下の調査・判定を経て決まります。

  • 認定調査
  • 主治医意見書
  • 一次判定
  • 二次判定

要介護認定の調査は、まず認定調査員による訪問調査から始まります。調査員が実際に自宅や施設を訪れ、ご本人の身体状況や精神状態、認知症が疑われる症状の有無などについてヒアリングを実施。限られた時間で実施されるので事前に、ご家族がご本人の日常の様子や言動をメモしておくと調査に役立ちます。

認定調査のほか、かかりつけ医によって主治医意見書が作成されます。市区町村からの依頼を受け、かかりつけ医が診断のうえ作成しますが、いない場合は市区町村が医師を紹介してくれます。

認定調査と主治医意見書が終わると、その結果を元に、コンピューターによる全国一律の判定方法で一次判定が行なわれます。そして、医療や福祉の専門家による審査会が二次判定を実施し、要介護度が決定する段取りとなっています。

なお、認定結果は、申請から30日以内に郵送にて通知されます。

主治医意見書の内容

主治医意見書には、病状や治療内容、身体状況、日常生活の自立度などさまざまな項目について記載されます。また医学的観点からの留意事項や、日常的な支援の必要度についての見解も示されます。

認定結果に納得できない場合

決定した要介護度の区分に納得できないときは、まずは市区町村の担当窓口に認定結果の理由を確認してみましょう。

説明を聞いても不服がある場合は、60日以内に都道府県の「介護保険審査会」に申し立てをすれば、認定の取り消しおよび調査のやり直しが可能です。ただし、再審査が始まるまで数ヶ月かかることもあるので要注意です。

また、「区分変更申請」によって調査を再度実施してもらう方法もあります。本来、区分変更申請は本人の状態が変化したときに行なわれるものですが、認定結果に納得できない人が利用することもあります。申請したい場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどに相談してみるとよいでしょう。

認定後に受けられる介護保険サービス

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要支援要介護の認定を受けると、介護保険サービスの利用ができるようになります。具体的にどのような介護保険サービスがあるのか、タイプ別にご紹介しましょう。

居宅サービス

自宅で暮らしながら受けられるサービスは「居宅サービス」と呼ばれています。居宅サービスの種類は多岐にわたり、主に以下の3タイプに分類されます。

訪問サービス

利用者の自宅を訪問し、身の回りのサポートをするサービスです。食事や排泄の介助をする訪問介護のほか、訪問リハビリや訪問入浴介護、訪問看護などがあり、必要な支援が受けられます。

内容に応じて、介護福祉士や理学療法士、看護師などの各専門家がサービスを提供してくれるので安心ですし、ご家族の負担もかなり軽減できるでしょう。

通所サービス

自宅から施設に通う形で介護サービスを受けるサービスです。通所サービスには「デイサービス(通所介護)」と「通所リハビリテーション」の2種類あります。

デイサービスは、日中に利用者を送迎し、施設で食事や入浴、排泄介助、リハビリ、レクリエーションなどを行ないます。通所リハビリでは主にリハビリを行ない、少しでも自立した生活ができるようにサポートします。

夕方まで預かってもらえるので、介護をする方が日中に自分の時間をもちやすくなりますし、利用者ご本人の心身にもよい刺激となるでしょう。

短期入所サービス

短期入所サービスでは、一定期間、施設に入ることになります。生活面の介護や機能訓練を受ける「短期入所生活介護」と、主に治療や機能訓練を受ける「短期入所療養介護」の2種類に分かれています。入所期間はいずれも数日から2週間程度です。

福祉用具貸与・福祉用具販売

認知症の方の生活を補助する介護用品をレンタル・購入できるサービスです。

福祉用具貸与」では車いすや床ずれ防止用具など13品目をレンタルでき、「福祉用具販売」では入浴補助用具やポータブルトイレなど5品目を購入できます。ただし、要介護度によってレンタル・購入可能なアイテムは異なります。

施設サービス

認知症の方が介護施設に入所して、24時間体制で介護サービスを受けます。対象となる施設は「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保険施設」「介護療養型医療施設」などがあります。

特別養護老人ホームでは主に食事や排泄、レクリエーションなど生活面での支援が受けられ、それ以外の施設では介護に加えてリハビリや看護などの医療的なケアが実施されます。

まずはケアプランを作成しよう

介護保険サービスを利用する際は、あらかじめケアマネージャーや地域包括支援センターに相談し、ケアプランを作成してもらう必要があります。ケアプランには「どのような暮らしをするために、どのような介護保険サービスを、どれくらいの頻度で利用するか」などのサービスの利用計画を記入します。

要介護度・心身の状況・サービス内容・費用などを考慮し、多種多様なサービスのなかから適切なものを選ぶのは簡単ではありません。必ず専門家のアドバイスを受け、最適なサービスを利用しましょう。

要介護認定を受け、適切な介護保険サービスを利用しよう

お伝えしたように、介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。市区町村に申請し、要介護認定を経て要介護度が決まれば、それに応じたサービスが選べるようになります。

認知症介護を担うご家族の負担はとても大きいです。しかし、適切な介護保険サービスを利用すれば、介護生活が少しラクになるはずです。

介護をご家族だけで抱え込むと疲弊してしまうので、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどの専門家に相談し、必要なサポートを受けましょう。

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。