認知症の人が交通事故を起こしたらどうなるの?自動車保険で補償される?

認知症の人が交通事故を起こしたらどうなるの?

現在の日本は高齢者(65歳以上)の割合が28パーセントを超え、超高齢化社会になっています。

年齢を重ねると、人は認知能力が下がり、判断力がにぶります。

日常生活に支障がでるまで認知能力が下がった状態が、いわゆる認知症です。

老化は生き物である以上避けられませんが、認知症の方が自動車を運転し、交通事故を起こした場合、「自動車保険」の補償対象になるのでしょうか。

 

認知症の運転者が事故を起こした場合、自動車保険の補償対象となるの?

認知症の運転者が起こした事故は自動車保険の補償対象?

 

結論から言えば、認知症の方が事故を起こした場合でも、被害者に対する補償は強制加入の自賠責保険、任意保険どちらの保険も適用されます。

ただし、運転していた認知症の方、同乗者の怪我や、自動車の破損の補償が出るかどうかは、各保険会社の対応によって異なります。

また、任意保険に加入する際、基本的には持病や、健康状態の告知義務はありません。 そのため、運転免許証、自動車を保有し、かつ運転できるのであれば、認知症の方でも、新しく任意保険に加入できると思います。

しかしながら、道路交通法90条では、75歳以上の運転者は、適性検査を受けることとなっており、その際アルツハイマー病や脳血管疾患などの病気で認知症だとされた人の免許の取得を認めていません。

仮に、病気を隠して自動車免許の更新をしたり、また健康状態の申告をせずに自動車免許を取得していた場合には、道路交通法違反として1年以下の懲役、または30万円以下の罰金に処されます。

また交通事故を起こした際、運転者が認知症などの一定の病気の疑いがあるときには、医師の診断による免許の取り消し処分を待たずに、免許停止措置を受ける場合もあります。

高齢運転者交通事故率はどれくらい?

高齢運転者の交通事故率は?

前章では、認知症の方が自動車保険の補償対象であるのかどうかを説明させていただきました。

今回は、高齢運転者の交通事故率について少し掘り下げてみたいと思います。 警視庁が発表した「の交通事故の発生状況(2019年次)」によると、日本全体の交通事故の件数は、381,237件でした。

こちらの件数は、ピーク時の2004年の952,750件から、半分以上減っており、交通事故の件数自体は、年々減少傾向にあります。

では、高齢者(65歳以上)の方が起こした事故の件数はどれくらいになるのでしょうか。 全体の交通事故の件数で、高齢者(65歳以上)が起こした事故数は全体の3割に満たず、23.3パーセントでした。

この結果から、高齢者の方が別の年齢層に比べ、交通事故を起こす確率が特段高いというわけではないことがわかりました。

とはいえ、高齢運転者が起こした事故をニュースで聞く機会が多いように感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その理由は、交通事故を起こした件数ではなく、死亡事故数に関係しているのです。 2019年度の第1当事者(※)死亡事故件数は、2780件でした。

その内、高齢運転者による事故件数は、827件でした。

これは全体のおよそ3割で、事故件数よりも7パーセントほど高い数字になりました。

また、80歳以上の死亡事故は免許を取得している総数に比べ、8.1パーセントと高い数字がでました。

この結果から、65歳未満の運転者に比べ、高齢運転者の方が交通事故を起こした場合、重大な事故に発展する可能性が高いこと言えると思います。

また、認知症の方が事故を起こした場合、ケースによっては賠償責任が家族の方に及ぶこともあります。

交通事故での賠償金は、程度によってはかなり高額になる可能性があるのです。 したがって、自身の親の認知能力が危ういと感じたときには、免許返納を進めた方が良いでしょう。

とはいえ、免許の返納を拒否するひともいるかと思います。

親が免許の返納を拒んだ場合には、どうすれば良いのでしょうか。 次章でご説明させていただきます。

高齢な親に運転をやめてもらうには…?

高齢な親に運転をやめてもらうには

お住まいの場所によっては、日常生活に自動車が必要不可欠であることもあるでしょう。 加えて、事情があって高齢の方でも、ひとり暮らしをしている方も少なくないと思います。

そのため、なかなか自動車免許を手放したくないと考えている方がいるのが現状です。 とはいえ、自動車の運転には常に危険が付きまといます。

運転者自身はもちろん、人身事故を起こした場合には他人の命に係わりかねない事態が発生する可能性もはらんでいるのです。

認知症の疑いのあるご家族おり、免許の返納をすすめてみても応じない時には、病院へ行くことをおすすめします。

2013年に道路交通法が改正され、一定の病気等(認知症も含まれる)にかかっている運転者を診察した医師が運転に支障があると判断した場合には、診察結果を公安委員会に届出をしても守秘義務違反にあたらなくなりました。

また、「認知症の運転者が事故を起こした場合、自動車保険の補償対象となるの?」でもお話しましたが、運転が困難であると医師に診断された場合には、報告義務が発生します。

こちらの制度を利用すれば、認知症の方がいくら拒んだとしても、免許を取り消しされることがあるのです。

こちらの方法は最終手段といっても言い過ぎではないかもしれません。

後に禍根を残してしまうかもしれませんので、両親が免許の返納を渋っている場合には、自主的な免許返納でのメリットを話し合いで伝えてみてはいかがでしょうか。

一例を挙げると東京都では、任意に返納した方へこちら(

高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧 警視庁

)のような特典 制度をもうけています。

他の地域でも、タクシーやバスの運賃の割引、商品券の贈呈などさまざまな制度があります。 詳細につきましては、各都道府県で異なりますので、高齢運転者支援サイトにてご確認いただければと思います。

おわりに

今回は認知症と交通事故についてお話をしてきました。

自動車は便利ですが、一方では「走る凶器」とも呼ばれています。

ささいなミスが、大きな事故を呼び起こすか可能性があります。 認知能力や判断能力が下がっている状態の方が運転をすれば、可能性がより高まるのは必然でしょう。

ご自身の家族を交通事故の被害者にしないことはもちろん、加害者にしないことも大切になってきます。

また、万が一認知症の方が事故を起こしてしまった場合には、法律の専門家である弁護士に相談するのも手段のうちです。

事故を未然に防ぐことが何よりですが、起きてしまった場合に備えて加入している保険の補償について確認しておくと良いでしょう。

※この記事は2020年7月時点の情報で作成しています。

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監修者:弁護士 馬場 龍行(弁護士法人 エース)
監修者:弁護士 馬場 龍行(弁護士法人 エース)

【HP】
弁護士法人エース公式サイト

【所属団体】
 第一東京弁護士会
 法教育委員会委員
 国際交流委員会委員

【一言】
「今を、精一杯生きる」ことを意識しながら、何事にも取り組んでいます。これは弁護士としての活動にも通じており、目の前の案件と真摯に向き合うことで依頼者様の満足と、より良い未来へとつながっていくと信じています。どんな案件にも高い水準で応えられるよう常に前向きに努力を続けます。