母が怒りっぽくなり、突然大声を出したりするようになりました。認知症と関係あるのでしょうか?

質問

質問者現在父は入院中で、中心静脈栄養を受けています。自宅に引き取って在宅介護にしたいと思っています。中心静脈栄養を受けていても在宅介護は可能なのでしょうか? また、そのための準備や注意点があれば教えてください。

 

 

専門家病院で中心静脈栄養を受けている方の中には、早く自宅に戻りたいという人や、家族の方が親を自宅で介護したいという人もいます。自宅での中心静脈栄養の方法について解説します。

 

認知症の「周辺症状」とは?

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認知症というと、物事をすぐに忘れてしまう記憶障害のイメージが強いですが、人によっては徘徊や妄想など色々な症状が現れます。 記憶障害や判断力低下など、認知機能に障害が起こる症状は「中核症状」といいます。中核症状は認知症になると誰にでも起こる主症状です。 これに対し、認知機能障害以外のさまざまな症状は「周辺症状」と総称されています。

行動面・精神面の症状

周辺症状は主に行動面や精神面に現れます。代表的な症状は以下の通りです。 ・徘徊(一人で歩き回る) ・妄想(お金を取られたなどの思い込み)

  • 幻覚(存在しないものが見える)
  • せん妄(意識がもうろうとして混乱・興奮する)
  • 睡眠障害(眠れなくなる)
  • 多動(じっとしていられなくなる)
  • 不安、焦燥 ・抑うつ(気分の落ち込み)
  • 無気力になる
  • 暴言、暴力
  • 介護や服薬を拒否する
  • 排泄物をもてあそぶなどの不潔行為

このように実にさまざまな症状があり、以前とは別人のようになってしまうことも珍しくありません。目の当たりにするご家族からすると、なかなか受け止めがたいかもしれません。

「中核症状」に付随して現れる

記憶障害などの中核症状は、脳の神経細胞が壊れることによって引き起こされます。神経細胞が機能しなくなって脳内のネットワークが障害されるため、記憶力・判断力・理解力に直接的に影響が出てしまうのです。

対して周辺症状は、中核症状に付随して現れる二次的な症状です。認知機能障害による直接的な影響だけではなく、人間関係や生活環境、ご本人の性格・気質などさまざまな要素が絡み合っていると考えられています。

個人差があり介護負担が大きい

周辺症状の難しいところは、現れ方には個人差があり、症状によっては介護負担が増大しやすいという点です。

中核症状は認知症になると必ず現れますが、周辺症状は人によって出方が異なります。徘徊をするようになる人もいれば、突然怒り出す・叩くなど攻撃的な態度が増える人もいます。

「必ずこういう症状が出る」と予測できていれば対処しやすいでしょうが、周辺症状は一人ひとり異なるうえ、複数の症状が同時期に現れることも多いです。

そのため、周辺症状が強く出ている方の介護は簡単ではありません。しかし、認知症を引き起こす原因や対処のコツを知っておけば、何も知らないときより冷静かつ適切に接することができるでしょう。

次章では、認知症を引き起こす主な病気についてご説明します。

認知症の原因はさまざま

 

認知症の発症は、主に以下のような病気が原因だと考えられています。それぞれの特徴をチェックしておきましょう。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、認知症の原因として最も多い病気です。脳の記憶を司る「海馬(かいば)」という部分が萎縮する病気で、物忘れから始まります。症状が進行すると大脳の機能が衰え、寝たきりになるケースもあります。

アルツハイマー病にともなう認知症は「アルツハイマー型認知症」と呼ばれています。一般的な認知度も高く「認知症=アルツハイマー病」ととらえている方もいますが、原因のひとつだと認識しておきましょう。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、「レビー小体」という物質が脳の神経細胞脳に発生することで、主に側頭葉や後頭葉に障害が起こります。

一般的な認知症だと物忘れから始まるケースがほとんどですが、レビー小体型認知症は幻視や妄想などの物忘れ以外の症状が初期段階から現れるのが特徴です。手足の震えやこわばりといったパーキンソン病のような症状が出てくることも多く、調子がいいときと悪いときをくり返しながら進行します。

血管性認知症

脳梗塞や脳出血など、脳の血管の障害が原因で引き起こされる認知症を「血管性認知症」といいます。脳内の血液循環が悪くなることによって脳の一部が壊死し、認知機能が低下します。主な症状は物忘れで、人によっては手足のしびれ・麻痺などの運動障害が現れることもあります。

前頭側頭型認知症

名称の通り、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することによる認知症です。人格や社会性を司る前頭葉と、記憶や言語を司る側頭葉の機能が低下するため、社会のルールやマナーを踏まえた「常識的な行動」がとれなくなる傾向があります。また、配慮ある言動ができなくなり、暴力的になる人もいます。

このように、認知症につながる原因・病気は多岐にわたります。原因によって症状の現れ方も異なるということを知っておきましょう。

周辺症状に適切に対処するポイント

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周辺症状が現れても、適切に対処すれば症状がやわらぐ場合があります。主な周辺症状に対する接し方や対応方法のポイントをご紹介しましょう。

「否定しない・叱らない」が基本

認知症の方に対しては、「頭ごなしに否定しない」「むやみに叱らない」ということを常に心がけましょう。

認知症の方の言動は健康な方からすると不可解でしょうし、迷惑行為に見えることがあるかもしれません。ですが、ご本人にはそれなりの理由があるケースが多いです。

すぐに否定・叱責すると、ご本人はあなたに反発心を抱き、混乱を助長させてしまうことも。まずは話を聴き、考えや気持ちを受け止めてあげましょう。たとえ理解できなくても、「話を聴いてくれている」という姿勢がご本人の安心感につながり、混乱がおさまる場合があります。

徘徊への対処のコツ

徘徊は、主に「自分がどこにいるのかわからない」という見当識障害や、不安感や焦燥感によって引き起こされる症状です。交通事故や行方不明が懸念される症状なので、徘徊を未然に防ぐセンサー類を利用するとよいでしょう。徘徊予防センサーにはベッドの下やドアに設置するタイプのほか、ご本人に携帯してもらうタイプもあります。

暴言・暴力への対処のコツ

認知症の影響で感情のコントロールができなくなると、暴言や暴力につながることがあります。不安や混乱をご自身で処理しきれないときや、「プライドを傷つけられた」と感じたときなどに現れやすいです。

攻撃的な言動がある場合は、落ち着ける場所に移動して話を聴いたり、可能であれば介護をする人を変えてみたりしましょう。感情的にならず、冷静にコミュニケーションをとることが重要です。

対応が難しい場合は、医師に相談すれば薬を処方してもらえる場合もあります。

被害妄想への対処のコツ

探し物が見つからないときに「盗まれた」と家族を疑うケースがあります。被害妄想が見られる場合も、頭ごなしに否定せず、できる限り話を聴いてあげましょう。たいていの場合、「誰も盗っていないよ」と説明してもご本人は納得してくれません。

とはいえ、被害妄想が強いとご家族の心労は増すばかりです。毎日一緒にいると負担が大きいので、介護保険サービスでデイサービスやショートステイを利用するのも一案です。

介護拒否への対処のコツ

「食事を食べてくれない」「入浴介助を嫌がる」「薬を飲んでくれない」など、介護拒否が見られる場合は、介護される人の気持ちを考えてみましょう。 介護拒否の原因は、「介護されるのが恥ずかしい」という自尊心からくるもの、認知機能の低下によって状況が理解できないことなどが挙げられます。

対応としては、拒否されても無理強いはせず、お手伝いの必要性を丁寧に伝えることが基本です。それでも難しい場合は、離れてしばらく様子を見るのもおすすめです。

状況がわからず不安から拒否する方に対しては、介助の前に「体を洗いますね」などと具体的な声かけをするとよいでしょう。

不潔行為への対処のコツ

認知機能が著しく低下すると、排泄物で部屋や衣服を汚してしまう不潔行為に及ぶ場合があります。「お尻の不快感やオムツの違和感を解消したい」「便の感触が面白くてもてあそんでしまう」など、考えられる理由はさまざまです。

不潔行為に対しては、トイレに行く時間を決めて早めに声かけをしたり、ポータブルトイレをとり入れたりするのがおすすめです。

対応に困ったらすぐに相談を

認知症の周辺症状には、健常な人からすると理解しがたい迷惑行為に思えるものが多く、ご家族も「どのように対応すればいいかわからない」と戸惑うケースが非常に多いです。

とはいえ、症状を引き起こしている病気や対処のコツを知っておけば、できる限り落ち着いて対応できるようになるはずです。

その都度適切な対応をとることが難しい場合は、ご家族だけで抱え込まず、ケアマネージャーや担当医に相談しましょう。必要に応じて、介護保険サービスや薬物療法をとり入れれば、介護をする方の負担も軽減できますよ。

※この記事は2019年9月時点の情報で作成しています。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。