せん妄とは?原因と対応方法

せん妄とは、様々な要因によって引き起こされる意識障害です。高齢者には特に起こりやすく、認知症に似た症状が現れます。この記事ではせん妄の要因や症状、認知症との違い、家族ができる対応など、あらかじめ知っておきたい基礎知識をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

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せん妄とは 原因と対応

 

せん妄とは

せん妄とは何か

せん妄とは、突然発症する意識障害の1種です。時間とともに症状は変動し、通常は短期間で回復します。認知症に関係なく見られる状態ですが、せん妄なのか認知症の症状なのかがわかりづらいため、「急に認知症になった」と家族を驚かせてしまうことも少なくはありません。

せん妄は入院している方の1~3割に発症するといわれており、誰にでも起こりえるものです。加齢による脳の変化が起きている高齢者は、特にせん妄が起こりやすい傾向にあります。

せん妄の要因

喫煙歴や認知症、慢性疾患などせん妄を引き起こしやすい条件があります。高齢による脳の機能低下も、せん妄を引き起こしやすい条件の1つです。

せん妄を引き起こすメカニズムははっきりとはしていませんが、転居などの環境の変化、身近な人との死別などの心理的ストレス、薬の成分への反応、急病や手術、脱水、睡眠不足といった生理学的な変動や精神的ストレスなどの要因が加わって引き起こされます。また、アルコール依存症の方がお酒を断った時にもせん妄による幻視などが起こることがあります。

せん妄の原因は1つとは限らず、複数の因子が組み合わさって引き起こされることがあります。

せん妄の症状と診断基準

せん妄の症状と診断基準について

せん妄の症状は一時的なもので、数日から数週間で改善します。せん妄で現れることのある症状を確認しておきましょう。

せん妄の症状

せん妄状態の時は、軽度から中度の意識の混濁を起こし、次のような症状が現れます。

  • 日時や時間、場所が分からなくなる
  • 自宅や入院先から「帰る」と言い出す
  • 幻視 ・怒りっぽくなる
  • 落ち着きが無くなって、動き回ったり物を動かしたりする
  • つじつまの合わない話をする
  • 過去と現在を混同する
  • もの忘れがひどくなる
  • 点滴の管などを抜いてしまう 

など このような症状が、短時間現れて消えたり他の症状に切り替わったりします。

せん妄の種類

せん妄には、ぼんやりとしていたりごそごそと動き回ったりするものの、それほど大きな動きは伴わない「低活動性せん妄」と、大声を出して暴れたり動き回ったりする「過活動性せん妄(高活動性せん妄)」、そして両方が混在する「混在性せん妄」の3種類があります。

過活動性せん妄では本人が転倒したり介護者がケガをする危険性があるため、介護者の負担は大きくなります。また、見逃されやすい低活動性せん妄にも注意が必要です。気づかずに経過してしまうと、せん妄が長期化して原因となっている疾患の治療や解決が遅れることがあります。

せん妄の診断方法

せん妄の原因を特定するための検査はありますが、せん妄かどうかを特定する検査はなく、代わりに早期診断と介入のために診断基準が定められています。

診断基準には、国際疾病分類による診断基準(ICD-10)と米国精神医学会による診断基準(DSM-5)があります。いずれも医療関係者向けなので内容は割愛しますが、気になる方はインターネットで検索してみるといいでしょう。

「何かがおかしい」と感じたら、確信が持てなくてもかかりつけ医に相談したり、心療内科や精神科、神経内科などを受診することが大切です。入院中であれば、担当医や看護師に相談してください。

せん妄と認知症の違い

せん妄と認知症はどう違うのか

認知症と似た症状を引き起こす「せん妄」。ここで認知症との違いをまとめておきましょう。

発症時期が特定できる

せん妄はいつから症状が始まったのかがはっきりしている点が、認知症との大きな違いです。脳梗塞などによって発症する脳血管性認知症や頭部の外傷による認知症などを除いて、「昨日までしっかりしていた人が今日から急に認知症になった」ということは通常起こりません。

短期間で症状が収まる

せん妄の症状は突然発生し、数時間から数週間続きます。1日の変化が大きいことも特徴です。通常であれば治療などで原因が改善されるとともに、せん妄の症状も治まります。

早いうちから失禁が起こる

認知症の方でも失禁してしまうことがありますが、症状が進んでからのことが多いです。せん妄では、発症から間もないうちに失禁してしまうことがあります。

せん妄への対応

せん妄への対応方法について

せん妄を発症したら、家族はどのように対応したらいいのでしょうか。

せん妄への対応方法

家族がせん妄を起こしたら、音や光などの刺激を避けて本人の安全を確保することが大切です。動き回ったり暴れたりしている時に、本人や介護者がケガをするようなものは身近に置かず、ベッドは転落に備えて一番低くしておきましょう。

どうしても本人や介護者の安全を確保できない時には、ケアマネジャーや地域包括支援センターに助けを求めてください。

夜に覚醒してしまう場合には、昼間は日の光を浴びるようにして眠らないように話しかけたりデイサービスに行ってもらったりしましょう。つじつまの合わない話をしても否定や指摘をせずに、耳を傾けてください。穏やかに話しかけ、身体をさすったり手を握ったりするのも効果的です。家族が近くにいるだけで落ち着いて症状が改善することもあります。

せん妄の治療方法

せん妄では、その原因を特定して治療や解決をして改善を目指します。例えば、環境を整える、不安を取り除く、特定の疾患や感染症、脱水が原因の場合にはその治療をする、薬に含まれている成分が原因の場合には薬の量のコントロールをする…などの対応をします。

短期間で治療の効果が出て落ち着くこともあれば、原因の治療や解決に時間がかかる場合にはせん妄も長引くこともあります。

せん妄の予防

せん妄を起こさないためには、生活や環境の変化を減らし、水分補給や体調管理を行うなど、せん妄を起こす要因を予防すること大切です。入院中であれば、部屋に時計とカレンダーを置いたり、使い慣れた安心できるものを持ち込んだり、夜に眠れるように昼に動いてもらったり、水分をしっかりとってもらったり、家族が見舞いに行って顔を見せることが、せん妄の予防につながります。

せん妄かもと思ったら

せん妄かもと思ったら、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。かかりつけ医がない場合は、心療内科や精神科、神経内科を受診してください。入院中であれば、担当の医師や看護師に相談してください。

まとめ

せん妄は認知症に似た症状を起こす意識障害の1種です。脳の機能が低下している高齢者には起こりやすい傾向があります。急病や手術、薬の成分に対する反応、環境の変化や身近な人の不幸などの心理的ストレス、感染症などの疾患や脱水など、せん妄を引き起こす要因は様々です。入院中には特に起こりやすくなります。

集中力が無くなったり、もの忘れがひどくなったり、話のつじつまが合わなくなったり…など、認知症に似た症状が起こります。発症時期が特定できること、短期間で改善すること、早いうちから失禁が起こることが認知症との大きな違いです。落ち着きなく動き回ったり夜に覚醒して暴れたりといった過活動性せん妄が起こると、介護者の負担は大きくなるでしょう。うつ病に似た低活動性せん妄は見過ごされやすいため、注意が必要です。

せん妄では、突然症状が現れて短時間で消えたり1日で症状が切り替わったりしながら、数時間から数日にかけて進行して短期間で無くなります。ただし、せん妄の原因を早いうちに特定して、治療または解決しないと症状が長引いてしまう可能性があります。いつもと違う様子に気づいたら、できるだけ早く医師の診断を受けるようにしましょう。

※この記事は2020年6月時点での情報を基に作成しています

 

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監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。

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