日中に通所介護(デイサービス)を提供している施設に、そのまま宿泊できるのがお泊りデイサービスです。介護保険は適用されませんが、利用者にも家族にもメリットがあるため選ばれています。本記事では、そのサービス内容や特徴、費用などについて解説しています。
- お泊りデイサービスとは?知っておきたい基本ポイント
- お泊りデイサービスの対象者
- お泊りデイサービスのサービス内容
- お泊りデイサービスでかかる料金
- お泊りデイサービスの探し方と利用の流れ
- 柔軟にお泊りできるデイサービスをお探しの方に
お泊りデイサービスとは?知っておきたい基本ポイント
まずは、お泊りデイサービスの基本ポイントを確認していきましょう。
デイサービスに宿泊できるサービス
お泊りデイサービスとは、通所介護(デイサービス)を利用した利用者がそのまま宿泊できるサービスのことです。日中のデイサービスには介護保険が適用されますが、お泊りデイサービスには介護保険が適用されません。
宿泊できる介護保険サービスには短期入所生活介護(ショートステイ)がありますが、人気が高いので希望する日程に通いなれた施設が予約できないことがあります。お泊りデイサービスは介護保険が適用されないので利用金額が高くなりますが、その代わりに通いなれた施設に宿泊できること、予約が取りやすいことというメリットがあります。お泊りデイサービスの利用は、原則として緊急時または短期間の利用とされており、利用が長期にわたる際には別のサービスの利用を検討しなくてはいけません。
以前は利用定員や宿泊室、防火対策なども事業者によってバラバラで、雑魚寝のような状態で宿泊させている業者もあるなどの問題が指摘されていました。2015年4月にようやく厚生労働省からお泊りデイサービスに関する国のガイドラインが発表され、安全性が高まりました。
お泊りデイサービスのガイドライン
厚生労働省が示したお泊りデイサービスの基準の一部を紹介します。
●利用定員
9人以下かつ日中の通所介護(デイサービス)の利用定員の2分の1以下まで
●人員基準
介護職員や看護師を常時1名以上設置する など
●宿泊室の設備基準
個室または1室4人以下で、一人当たりの床面積は原則7.43平方メートル以上。個室ではない場合は、プライバシーを守るためにパーテーションや襖で仕切る必要があります。カーテンでの仕切りは認められていません。
この他、指定権者(都道府県もしくは市町村)への届出、事故があった場合の市町村や家族への連絡、夜間を想定した避難や救出訓練の定期的な実施などを定めました。
また、地域によっては利用日数の上限など、独自に指定基準を設けているところもあります。
お泊りデイサービスの対象者
お泊りデイサービスを利用できる対象者を確認しましょう。
お泊りデイサービスが利用できる方
お泊りデイサービスは、日中すごした通所介護(デイサービス)にそのままお泊りするサービスです。通所介護(デイサービス)を利用できる、要介護1~5の方の利用が想定されています。
お泊りデイサービスのサービス内容
お泊りデイサービスは、通っている通所介護(デイサービス)にそのまま宿泊するサービスです。介護保険外のサービスなため、提供されているサービス内容は事業所によって様々ですが、一般的なサービス内容には、以下のようなものがあります。
お泊りデイサービスのサービス内容
お泊りデイサービスでは、就寝の前に口腔ケアや着替えのお手伝いをしてくれます。
日中に通所介護(デイサービス)を利用していない方が、お泊りだけ利用できるかどうかは事業所によって異なります。
お泊りデイサービスでの食事について
お泊りデイサービスでは、夕食と朝食の提供を行っています。ミキサー食など利用者の状態に合わせた食事が提供可能です。
お泊りデイサービスの利用期間について
施設の入居待ちなどの理由で利用期間が未定の方も利用できますが、緊急時または短期間の利用を想定して設備や人員基準が定められているサービスなので、利用期間が長くなる場合には他のサービスの利用を検討しなくてはいけません。
自治体によっては「連続して30日まで」など、利用日数に上限があるところがあります。ターミナルケアや看取りの対応は原則していません。
お泊りデイサービスでかかる料金
お泊りデイサービスでかかる費用を見ていきましょう。
お泊りデイサービスで掛かる料金
お泊りデイサービスでは、「夜間利用料(宿泊代)」「食事代(夕食+朝食)」が掛かります。いずれも各事業者が独自に設定している料金です。介護保険が適用される日中のデイサービスと同様に、多くの事業所では要介護度に合わせた夜間利用料を設定しています。そのため要介護度が高くなるほど金額も高くなります。
目安としては1泊2食付きで2000円から5000円程度。介護保険は適用されないので、すべて自己負担となります。個室を利用した場合には、さらに金額は高くなります。
その他にかかる料金
上記の金額の他に、使用したおむつ代などの日常生活費が実費で請求されます。連続で使用する場合には、理美容代や洗濯代などが実費で請求されます。
お泊りデイサービスの探し方と利用の流れ
最後に、お泊りデイサービスを利用する基本手順を確認しておきましょう。
お泊りデイサービスの探し方
お泊りデイサービスを利用したい場合には、次のような方法でサービス提供事業者を探しましょう。
- ケアマネジャーにお泊りデイサービスを利用したいことを告げて、サービス提供事業者を紹介してもらう
- インターネット検索や地域包括支援センター、お泊りデイサービス協会などの各団体などから情報を取得して事業者を見つけ、ケアマネジャーに手配してもらう
お泊りデイサービスの利用の流れ
要介護1~5の認定を受けている場合、利用手順は以下のようになります。
- 担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに相談する
ケアマネジャーの助けも借りて、複数のサービス提供事業者(施設)をピックアップしましょう - 見学や体験利用をする
利用者やスタッフと話をして、雰囲気をつかむようにしましょう。その際には、夜間のスタッフの体制や、何名まで泊まれるのか、個室ではない場合にはベッドの間の仕切りをどのようにしているのかを確認しておくと安心です - 施設が決まったら利用申込みをする
- サービス提供事業者(施設)と契約を交わす
- 指定日時よりサービス開始
※上記は基本的な流れです。緊急時の場合やサービス提供事業者の状況などによって異なります。
柔軟にお泊りできるデイサービスをお探しの方に
お泊りデイサービスは、介護保険では対応できないニーズに応えるために生まれたサービスです。いつも通っているデイサービスにそのまま宿泊する場合には、なじみのある施設や職員がいる場所にお泊りできるのがメリットです。
短期入所生活介護(ショートステイ)の予約が取れなかったときや緊急時、仕事で忙しくて介護まで手が回らない平日の夜などに利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。 訪問介護サービスの利用をきっかけに、ご利用者様や ご家族の表情が和らいでいくのを何度も目にしてきました。 2021年の介護福祉士取得を目指しています