療養通所介護(医療型デイサービス)とは? 料金や利用対象者を詳しく解説

療養通所介護(医療型デイサービス)とは

医療ニーズが高く、一般的な通所介護(デイサービス)を利用できなかった方にお勧めなのが療養通所介護(医療型デイサービス)です。本記事では、その内容や利用方法、費用を解説します。本人にも家族にもメリットの大きいサービスなので、ぜひ確認しておきましょう。

目次

  1. 療養通所介護(医療型デイサービス)とは?知っておきたい基本ポイント
  2. 療養通所介護(医療型デイサービス)を利用できる対象者は?
  3. 療養通所介護(医療型デイサービス)のサービス内容
  4. 療養通所介護(医療型デイサービス)でかかる料金
  5. 療養通所介護(医療型デイサービス)の利用方法
  6. 医療ニーズが高く一般のデイサービスをあきらめていた方に

療養通所介護(医療型デイサービス)とは?知っておきたい基本ポイント

男性介護スタッフ

 

療養通所介護(医療型デイサービス)の基本ポイントを確認していきましょう。

医療ニーズが高い方も安心して通える通所系サービス

療養通所介護(医療型デイサービス)とは、医療的ケアと介護の両方が必要な高齢者が日帰りで施設に通い、看護師の観察や処置を受けながら一日を過ごす介護保険サービスです。定期的な利用だけではなく、家族の都合に合わせて不定期に利用することもできます。

常に家族や看護師の観察が必要なため、通常の通所介護(デイサービス)に通えなかった方でも利用が可能です。送迎の車中にも看護師が付き添うので、安心して通うことができます。利用定員が一日9人以下と少なく、人員配置も手厚いため、目が届きやすい環境であることがメリットです。訪問看護ステーションが開設していることも多く、訪問看護と併用すれば普段の利用者を知っている看護師のいる療養通所介護(医療型デイサービス)を利用することもできます。

医療ニーズが高くて外出が難しい方や日常的にベッドで生活することの多い方は、家族以外と交流する機会が減り、社会的に孤立していると感じることも多くなるでしょう。療養通所介護(医療型デイサービス)は、機能訓練などによる心身機能の維持だけではなく、孤立感の解消も目的としています。

また、介護をしている家族が、安心して介護から離れてレスパイト(身体的・精神的負担の軽減、息抜き)を図ることも目的です。

「医療的なケアが必要でも、施設ではなく自宅で過ごしたい」という利用者と、「介護と自分の生活を両立させたい」という介護する家族の両方の希望を叶えるのが療養通所介護(医療型デイサービス)です。

療養通所介護(医療型デイサービス)の職員体制

看護職員と介護職員の配置は、利用者1.5人に対して1人と定められています。訪問介護ステーションが併設している場合には、訪問看護と兼務する看護師が多くなりますが、職員のうち1名以上は専従の看護職員である必要があります。また、管理者は常勤専従の看護職員です。

療養通所介護(医療型デイサービス)を利用できる対象者は?

デイサービスでの過ごし方

療養通所介護(医療型デイサービス)を利用できる方

要介護1以上の認定を受けた方で、常に看護師による観察が必要な方が利用できます。

また、介護が必要になっても、住み慣れた地域で生活できるように支援することを目的とした「地域密着型サービス」のため、療養通所介護(医療型デイサービス)の事業所と同じ市区町村に住んでいる必要があります。

【対象者の例】

  • 難病などの中重度の要介護
  • がん末期の方
  • 気管切開をしているなど医療的なケアが必要な方 など

療養通所介護(医療型デイサービス)を利用できない方

自立や要支援1、2の方、常に看護師による観察が必要ではない方、療養通所介護(医療型デイサービス)の事業所と同じ市区町村に住んでいない方は利用できません。

療養通所介護(医療型デイサービス)のサービス内容

医療型デイサービスのサービス内容

療養通所介護(医療型デイサービス)のサービス内容を見ていきましょう。

療養通所介護(医療型デイサービス)で受けられるサービス

療養通所介護(医療型デイサービス)には1人1台のベッドがあり、利用者の目標や状態に合わせて以下のようなサービスを受けながら過ごします。

●送迎

看護師が付き添います。

●健康チェック

体温や血圧の測定、排泄量の管理など。

●関節の曲げ伸ばしなどのリハビリ

●入浴

●排泄介助

必要に応じて導尿、浣腸や摘便などの対応をします。

●食事や経管栄養の介助

食事提供のない事業所の場合、自宅からのお弁当を持参するか宅食サービスを利用します。

●医療対応

人工肛門の管理、緩和医療ケア、褥瘡管理、注射・点滴、褥瘡管理、在宅酸素療法の方の酸素量やボンベの管理、インスリン注射など、主治医の指示に基づいた医療対応を行います。対応できる内容については、事業所や利用者の状況により異なるので、事前に事業所に確認しておきましょう。

また、事業所によってお散歩や映画鑑賞などのレクリエーションを行っているところもあります。

療養通所介護(医療型デイサービス)の1日(例)

午前中

お迎え:9時。出発前に看護師による体調管理を受けてから出発です。

排泄介助や入浴介助、水分補給を受けて過ごします。

昼食

午後

排泄介助やリハビリを受けて過ごします。

帰宅:4時。看護師に付き添われて帰宅。部屋で看護師が体調の確認をします。

※上記は一例です。サービス提供事業者、利用時間、サービス内容にもよって異なります。

療養通所介護(医療型デイサービス)でかかる料金

介護とお金

療養通所介護(医療型デイサービス)を利用すると、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか。金額を見ていきましょう。

1月ごとの基本料金

療養通所介護(医療型デイサービス)は、要介護度に関わらず、1月あたり12,691円となります。利用者の必要に応じて各種加算や減算がされます。


※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。サービス内容やサービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

その他にかかる料金

上記の金額の他に、食費やおやつ代がかかります。いずれもサービス提供事業者によって金額が違うので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。また、おむつ代やレクリエーションで使用した材料費などの日常生活費(実費相当額)がかかります。

療養通所介護(医療型デイサービス)の利用方法

デイサービスのイメージ

最後に、療養通所介護(医療型デイサービス)を利用する基本手順を確認しておきましょう。

療養通所介護(医療型デイサービス)の利用方法

要介護1~5の認定を受けている場合、利用手順は以下のようになります。

  1. 担当のケアマネジャーか地域包括支援センター、訪問看護師に相談する
  2. ケアマネジャーの助けも借りて、複数のサービス提供事業者(施設)をピックアップし、見学や体験利用をする
  3. 施設が決まったら、ケアマネジャーが利用申込みをする
  4. ケアマネジャーがケアプランを作成
  5. サービス提供事業者(施設)と契約を交わす
  6. 指定日時よりサービス開始

※上記は基本的な流れです。サービス提供事業者やケアマネジャー、利用者の状況によって異なります。

医療ニーズが高く一般のデイサービスをあきらめていた方に

通所系サービスは、社会的な孤立感の解消や機能の維持、そして介護家族のレスパイトのために必要なサービスです。しかし、医療ニーズが高い方は、一般のデイサービスの利用ができない場合があります。しかし、療養通所介護(医療型デイサービス)であれば、看護師の人員配置が手厚いので安心して通うことができます。本人にも家族にもメリットの大きい療養通所介護(医療型デイサービス)。ぜひ、利用を検討してはいかがでしょうか。

 
監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。