認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)は、認知症に特化した通所系サービスです。一般的なデイサービスになじめなかった方でも、楽しく通えるかもしれません。本記事では、認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)ならではの特徴や費用、利用方法を解説します。
目次
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)とは?知っておきたい基本ポイント
- 介護認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の対象者
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)のサービス内容
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)でかかる料金
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の利用方法
- 認知症の方に自宅以外の居場所を作りたい方に
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)とは?知っておきたい基本ポイント
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の基本ポイントを確認していきましょう。
認知症の方に限定した通所サービス
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)は、認知症の症状がある方や認知症の症状が出かけている方に限定した通所サービスです。利用者は日帰りで介護の専門施設に通い、入浴や排泄介助、食事などの支援を受けながら、持っている能力を生かした機能訓練、レクリエーションなどをして過ごします。
認知症による周辺症状は人によって様々なため、家族だけではなく、介護職員でも戸惑ってしまうことがあります。認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)は、職員が認知症の方の対応に慣れている点が大きなメリットです。また、利用定員が12人以下の小規模なデイサービスなので、職員の目が届きやすい環境の中で過ごすことができます。一般的な通所介護(デイサービス)になじめなかった方や重度の認知症の方、利用者に合った柔軟なケアが必要な方に向いているサービスです。
介護をしている家族にとっては、レスパイト(身体的・精神的負担の軽減、息抜き)の時間が得られます。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の種類
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)には3つの種類があります。
【単独型】
認知症対応型デイサービスのみのサービスを提供しているもの
【共用型】
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の共用スペースを利用してサービスを提供しているもの
【併設型】
特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などに併設されているもの
通所介護(デイサービス)との違い
一般的な通所介護(デイサービス)との一番の違いは、認知症の方に特化したデイサービスだという点です。認知症の方でも一般的な通所介護(デイサービス)を利用しますが、認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)では、認知症の方に合った内容のレクリエーションや機能訓練が提供されています。また、職員が認知症の症状に慣れていることも大きな特徴です。
利用定員が12人と少ないため、利用者の状況や変化に合わせた手厚い対応を受けられます。また、スタッフや利用者と顔なじみになりやすいのでアットホームな雰囲気の中で過ごすことができるというメリットがあります。
利用できる事業所は、住んでいる市区町村内に限定されます。また、費用は一般的な通所介護(デイサービス)、そして地域密着型通所介護(小規模デイサービス)と比べると割高です。
介護認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の対象者
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)を受けられる対象者を確認しましょう。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)が受けられる人
要介護1以上の認定を受けていて、認知症の症状がある方が利用できます。要支援1、2で認知症の症状がある方は、介護予防認知症対応型通所介護となります。
65歳未満の若年性認知症の方でも、要支援または要介護認定を受けていれば利用が可能です。詳しくは、主治医またはお住まいの市区町村の役所、地域包括支援センターにご確認ください。
また、介護が必要になっても、住み慣れた地域で生活できるように支援する事を目的とした「地域密着型サービス」のため、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の事業所と同じ市区町村に住んでいる必要があります。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)が受けられない方
自立の方や認知症の症状のない方、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の事業所と同じ市区町村に住んでいない方は利用できません。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)のサービス内容
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)のサービス内容を見ていきましょう。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)で受けられるサービス
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)では、以下のようなサービスを提供しています。
- 送迎
- 健康チェック(体温や血圧の測定など)
- レクリエーション(手工芸などの趣味の活動、歌、回想法を用いた遊びなど)
- 近隣への外出
- 皿拭きなどの家事機能訓練
- 口腔体操などの機能訓練
- 入浴
- 排泄介助
- 昼食
- おやつ
認知症の方は、最近のことは忘れても昔のことをよく覚えているという特性があります。そのことを生かして、古いおもちゃや懐かしい歌などを使った回想法を取り入れたレクリエーションを行っていたり、皿拭きなどの作業に参加してもらったりなど、認知症の利用者に合わせたサービスを柔軟に提供しています。
具体的なサービスや取り組みについては、契約の前に見学や体験利用をして確認するといいでしょう。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)でかかる料金
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)を利用すると、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか。その金額を見ていきましょう。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の1回ごとの基本料金
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)費は、要介護度と認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)を利用した時間によって異なります。
3時間以上 4時間未満 |
要介護1 | 542円 |
要介護2 | 596円 | |
要介護3 | 652円 | |
要介護4 | 707円 | |
要介護5 | 761円 | |
4時間以上 5時間未満 |
要介護1 | 568円 |
要介護2 | 625円 | |
要介護3 | 683円 | |
要介護4 | 740円 | |
要介護5 | 797円 | |
5時間以上 6時間未満 |
要介護1 | 856円 |
要介護2 | 948円 | |
要介護3 | 1,038円 | |
要介護4 | 1,130円 | |
要介護5 | 1,223円 | |
6時間以上 7時間未満 |
要介護1 | 878円 |
要介護2 | 972円 | |
要介護3 | 1,064円 | |
要介護4 | 1,159円 | |
要介護5 | 1,254円 | |
7時間以上 8時間未満 |
要介護1 | 992円 |
要介護2 | 1,100円 | |
要介護3 | 1,208円 | |
要介護4 |
1,316円 |
|
要介護5 | 1,424円 | |
8時間以上 9時間未満 |
要介護1 | 1,024円 |
要介護2 | 1,135円 | |
要介護3 | 1,246円 | |
要介護4 | 1,359円 | |
要介護5 | 1,469円 |
介護予防認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)費は、以下の金額です。
3時間以上 4時間未満 |
支援1 | 474円 |
支援2 | 525円 | |
4時間以上 5時間未満 |
支援1 | 496円 |
支援2 | 550円 | |
5時間以上 6時間未満 |
支援1 | 740円 |
支援2 | 826円 | |
6時間以上 7時間未満 |
支援1 | 759円 |
支援2 | 849円 | |
7時間以上 8時間未満 |
支援1 | 859円 |
支援2 | 959円 | |
8時間以上 9時間未満 |
支援1 | 886円 |
支援2 | 989円 |
※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。
※「単独型」の利用料金です。「共用型」「併設型」では異なります。
※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。サービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。
その他にかかる料金
上記の金額の他に、昼食費やおやつ代がかかります。いずれもサービス提供事業者によって金額が違うので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。また、おむつ代やレクリエーションの材料費などの日常生活費(実費相当額)がかかります。
送迎については基本料金に含まれていますが、「入浴」「個別機能訓練」など別途加算される介護保険サービスもあります。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の利用方法
最後に、認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)を利用する基本手順を確認しておきましょう。
認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の利用方法
利用手順は以下のようになります。
- 担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに相談する
- ケアマネジャーの助けも借りて、複数のサービス提供事業者(施設)をピックアップして見学・体験利用をする
- 施設が決まったら、ケアマネジャーが利用申込みをする
- ケアマネジャーがケアプランを作成
- サービス提供事業者(施設)と契約を交わす
- 指定日時よりサービス開始
曜日によって利用者も変わり、雰囲気が違うことがあります。見学や体験利用の際には、実際に利用を検討している曜日に設定するのがお勧めです。
※上記は基本的な流れです。サービス提供事業者やケアマネジャー、利用者の状況によって異なります。
認知症の方に自宅以外の居場所を作りたい方に
認知症のあるなしに関わらず、高齢になると外出の機会が減ってしまいます。また、認知症の方は人によって症状が違うこともあり、家族の負担が大きくなりがちです。認知症に特化した通所サービスであれば、利用者本人も楽しく過ごすことができ、家族も安心して預けることができます。職員となじみやすい小規模な認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)は、利用者の方にとって自宅以外の居場所になるかもしれません。ぜひ一度、ケアマネジャーに相談をしてみてください。
訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。