慢性閉塞性肺疾患(COPD)はどんな病気が教えて|要介護認定の特定疾病

 

 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」という言葉を、一度は耳にしたことがあるかもしれません。最初はほとんど症状がありませんが、適切な治療と生活改善をしないと病気が進行して生活上のさまざまな制限が出たり、この病気が原因となって死に至ることもある病気です。以前は、肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎と呼ばれていましたが、病気のしくみが共通しているのでこのように呼ばれるようになりました。

 詳しい症状と原因、介護の注意点などを解説していきます。

 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」とは

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状とは?

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の機能が障害されて肺機能が少しずつ悪化していく病気のことです。  

 肺は、気管支を通じて空気を肺に取り込んで、気管支の先端、一番末梢にあるブドウのような形をした肺胞で、空気中の酸素を毛細血管に送り、毛細血管中の二酸化炭素を肺胞に取り込む「ガス交換」をしています。  

 閉塞性肺疾患は、空気の出入りの経路である気道といわれる気管支が種々の原因で通りにくくなったり、肺胞の構造が変化して、ガス交換の機能が低下する疾患です。

 その結果として酸素の取り込み能力が落ちたり、二酸化炭素が体内に貯留しやすくなったりして、呼吸困難の症状が出ます。

 細くなった気道の中を空気が通るために笛が鳴るような音が出る喘鳴が生じたり、気道の炎症のための浸出液が出て痰として排出されたり、痰を排出するために頑固な咳嗽が出るのが特徴的な症状です。 主な症状について下記にまとめました。

 

慢性閉塞性肺疾患の主な症状

1日に何回も出ます

無色、白、黄、緑などの色の痰が出ます

喘鳴

ヒューヒュー、ゼイゼイという音の呼吸音です

体重減少

呼吸にエネルギーを使うので体重が減っていきます

頭痛

朝方に頭痛が出ることがあります

口すぼめ呼吸

呼吸しやすいように口をすぼめて呼吸します

チアノーゼ

血液中に酸素が行き渡らないことで唇や指先などが紫色になります

ばち指

指先がバチ状にふくらみ丸くなります

易感染性

(いかんせんせい)

風邪や肺炎にかかりやすくなります

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因と予防は?

 慢性閉塞性肺疾患は肺胞が破壊され過膨張する病気で、その意味では、この病気の中心にあるのは肺気腫という病気です。慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎もいろいろなしくみで肺胞の過膨張をきたす疾患です。

 肺気腫の最大の原因は喫煙です。喫煙者の15~20%が慢性閉塞性肺疾患を発症するといわれていますが、症状が出なくても肺胞が確実に破壊されていることは解剖された方の肺で明らかになっています。タバコの中に含まれるさまざまな化学物質の複合的な刺激が気管支や肺胞の細胞に変化を及ぼし、気管支の炎症や肺胞の破壊を起こしてしまいます。

 閉塞性肺疾患の90%以上は喫煙者であり、喫煙年数、喫煙本数が多い方がリスクが高まるといわれているので、閉塞性肺疾患の予防はタバコ対策につきます。

 なお、破壊された肺は、治療によっても元に戻ることはないので、できるだけ早く喫煙に取り組むことが重要です。

 喫煙以外の原因として、「職業上の化学物質、粉塵」、「大気汚染物質(PM2.5、工場の煙、排ガスなど」「遺伝」「加齢」などがあります。

 大気汚染地域に住んでいる方、職業歴などがある方は定期的な検査をお勧めします。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状が現れたときの対処法は?

 厚生労働省の発表によると、2014年の慢性閉塞性肺疾患の患者数は約26.1万人とされ、死亡者数は2017年で1万8千人あまりですが、2001年に行われた疫学的な調査によれば、実際の患者数は530万人と推定されています。

 つまり、実際は慢性閉塞性肺疾患にもかかわらず、受診していない人が数多くいるのです。 その原因は、慢性閉塞性肺疾患の症状が「少しずつ出る」ことに原因があると考えられています。喘息であれば、症状も激しく呼吸するのも苦しくなるので受診する人がほとんどですが、慢性閉塞性肺疾患は最初、咳や痰が出ますが、タバコを吸っている人ならそうした症状が出ることは珍しいことではなく、喘息ほどの苦しさもないため、多くの人がその症状を放置してしまいます。

 そして症状も、階段を一歩ずつ上るように少しずつ悪化していくため、症状が悪化しているという自覚が乏しく、息苦しくて階段を上るのも難しくなって初めて受診するというケースが多々あります。慢性閉塞性肺疾患の症状は症状を遅らせたりすることはできても、元の健康な状態の戻すことはできないので、手遅れになってしまうことがあります。

 そうならないためには、次の表の4つが当てはまる人はすぐにでも受診するようにしましょう。

すぐにでも受診すべき人

・息切れがする

・咳、痰が出る

・タバコを1日20本以上、20年吸っている

・息切れ、咳、痰が出るなどの症状が何年も前から続いている

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査法は?

 慢性閉塞性肺疾患が疑われた場合に行われるのは、スパイロメーターという器具を使った検査です。最大に吐き出せる空気量と最初の1秒間で吐ける量を見て、その比率(1秒率)から気道がどれくらい狭くなっているかを調べます。1秒率が70%未満であれば慢性閉塞性肺疾患と診断されます。この狭窄を見る呼吸機能検査が最も重要な検査です。

 そのほかに、胸部X線写真なども行われます。最近では胸部CTで細かい肺胞構造が解析できるようになったので撮影されることも多くなりました。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療法は?

 慢性閉塞性肺疾患は、「治療」という用語は使われず「管理する」という用語が使われています。すなわち、治療して治る病気でないということで、予防することが極めて重要な病気といえます。管理の目標は、症状や生活の質の改善、身体機能の維持、増悪の予防、病気の進行の抑制、合併症の予防と治療などです。

禁煙

 慢性閉塞性肺疾患の最大の原因が喫煙なので、禁煙が最も重要な取り組みです。ただし、壊れた肺が元に戻ることはありませんので治癒することはありません。しかし、少なくとも進行を遅らせることはできます。

薬物療法

 慢性閉塞性肺疾患の症状を和らげるために薬物療法が行われます。気管支を広げて呼吸をしやすくする気管支拡張薬、痰を切れやすくする去痰薬、気管支や肺の炎症を鎮めるステロイド薬、感染症を防ぐ抗菌薬などが使われます。

運動療法

 呼吸リハビリテーションといわれるトレーニングがあります。ストレッチ体操、筋肉トレーニング、排痰訓練、呼吸法訓練(腹式呼吸、口すぼめ呼吸)などのほか、下肢筋力トレーニングは息切れの改善の効果があることがわかっています。

在宅酸素療法

 慢性閉塞性肺疾患が進行すると、最終的にはガス交換がうまくいかなくなって日常生活でも息苦しさを感じるようになります。その場合に行われるのが在宅酸素療法です。これは、酸素を送り込む機械からチューブを出して鼻に付けるもので、トイレ使用時や外出時にも使うことができます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は介護保険が利用できるの?

 慢性閉塞性肺疾患は、介護保険制度の40~64歳以下でも「第2号被保険者」として介護サービスが受けられる「特定疾病」の1つです。そのため、慢性閉塞性肺疾患と診断され「要介護認定」を受けた場合に、介護保険制度を利用して介護サービスを受けることができます。

 介護施設も利用でき、その際は慢性閉塞性肺疾患に対応しているかどうかを必ず事前に確認しておきましょう。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の介護の注意点

 介護でまず重要なのは、禁煙を必ず実現することです。禁煙が難しい人は医師に相談して、禁煙外来に通ってでも禁煙しましょう。

 また、慢性閉塞性肺疾患はエネルギーを使うので痩せやすいのが特徴ですが、体力を保つためにもきちんと食事を摂り、場合によっては高カロリー食を摂取することも考えましょう。食事は医師などの医療職のほか、栄養士にも相談してみましょう。

 また、慢性閉塞性肺疾患になると肺炎や風邪などにかかりやすくなるので、手洗いやうがいの徹底、マスクの着用は当然のことながら、肺炎球菌やインフルエンザなどの予防接種を受けるようにしましょう。

まとめ

慢性閉塞性肺疾患は喫煙が主な原因です。予防したいという人は今からでも禁煙に挑戦しましょう。また、喫煙している人で息切れや咳や痰が出る症状が何年も続いている人は、ぜひ一度受診してみましょう。慢性閉塞性肺疾患は早期から対応することで悪化するのを防ぐことができるため、早めの行動が大切です。

 慢性閉塞性肺疾患を発症する人が1人でも減るといいですね。

※この記事は2019年7月時点の情報で作成しています。 

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監修者:下 正宗
監修: 下 正宗(しも まさむね)

東葛病院臨床検査科科長。1984年広島大学医学部卒。 認定病理医、臨床検査専門医、プライマリケア指導医。『最新 目で見る介護のしかた全ガイド』『家庭でできるリハビリとマッサージ』『介護用語ハンドブック』(成美堂出版)、『絵を見てわかる認知症の予防と介護』(法研)、『体位変換・移動・リハビリの介助』(桐書房)、『身近な人の上手な在宅介護のしかたがわかる本』(自由国民社)など、著作・監修多数。