老人クラブとはどんな集まりですか?活動内容、参加条件などについて教えてください。

質問

質問者親と暮らしていますが、家族は昼間仕事に出かけていて留守になります。母親は友人が多く生活を楽しんでいるようですが、父親には退職後あまり人との交流がありません。このまま一人で家にいると、不活発になっていくのではないかと思い心配です。老人クラブに勧誘されているようですが、活動が自分たちも良くわからないので勧めて良いのか迷っています。老人クラブでは何をしているのでしょうか。まだ元気なのでできるだけ色々な人と交流して欲しいと考えています。公務員をしていたので、社会に役立つ活動であれば興味がわくと思います。 

 

専門家

年をとっても生きがいや楽しみを持ちながら、生活することは大事なことです。しかし実際には一人で遠出をするには大変だったり、目的がなければ家に閉じこもりきりになってしまったりするという人は多いものです。そうした人に対し、地域のアクティブな高齢者が活動できる場として老人クラブがあります。老人クラブとは都道府県の支援を受けながら運営されている高齢者の自主組織です。活動内容はクラブによって異なりますが、スポーツなどを通じた健康づくりやボランティア活動などの社会貢献活動を行っています。

ここでは、老人クラブとはどういったものなのか、またその活動内容などの疑問にお答えしていきます。ぜひ、老人クラブに参加する際の参考にして下さい。 

老人クラブとは

老人クラブとは?

 

年齢を重ねても、生き生きと暮らしていたいのは誰もが願うことです。しかし個人の活動で、老後の毎日を充実させるのに限界を感じることもあります。有意義な人生を求める人が集う活動の場としての、老人クラブについて見ていきましょう。

老後の暮らしに関心を寄せる人々の集まり

老人クラブは行政などによって作られたものではなく、高齢者による自主的な会です。

老後の暮らしを充実させるため、さまざまな活動の拠点として存在しています。

おおむね60歳以上の人が加入しており、63に及ぶ都道府県・政令指定都市の連合会が加盟しています。

町内などの地域に一つはあると言われる老人クラブですが、その数は、現在10万を超えています。

老人クラブの歴史

老人クラブの起源は古く、なんと平安時代まで遡ります。もととなった集まりは、平安期の「尚歯会」、または仏教伝来時の相互扶助組織である「講」が起源とされています。

現在の組織の形となったのは、近代に入ってからです。明治26年に「老人クラブ」の名称で福岡県や京都府で発足し、大正時代には熊本県でも設立されています。

戦後、荒廃した国にあって高齢者が自分たちの力を尽くそうと有志に呼び掛け、やがて全国組織に発展していきました。

老人クラブのメインテーマ

老人クラブのメインテーマは、「のばそう!健康寿命、担おう!地域づくりを」です。

はつらつと自立した人生を最後まで送るために健康寿命を伸ばすことは、高齢化社会にある日本にとってももっとも重要な課題です。

長く生きてきた英知を持ち寄り、各世代と連携しながら住み良い地域社会づくりに貢献するのは、老人と呼ばれる世代だからこそできることです。

現在、高齢者と呼ばれる世代の人たちは、昔と比べて飛躍的に「若返っている」と言われています。歩行速度だけを取り上げても、この20年の間で10歳以上の体力の向上が明らかです。

老人クラブはそうした人たちの活力を、「社会の元気」につなげることを目指しています。

老人クラブは誰でも入れる?

老人クラブは誰でも入れる?

 

年を取っても社会に貢献しながら元気でいたい、と考える人は少なくありません。しかし老人クラブは誰でも入会可能なのでしょうか。

年齢制限はクラブによる

老人クラブは、基本的に本人の意志があれば誰でも入会が可能とされています。

年齢制限についてはクラブによっても多少異なりますが、おおむね60歳以上が原則です。ただし、クラブによっては60歳前でも入ることができる場合があるようです。

また老人クラブの年齢制限に上限はありません。本人に退会の意志がなければ、活動に参加できなくなっても会員でいられます。

そうした人に対しては、友愛活動として会員による訪問や、見守りといった活動が実施されます。

加入資格は特になし

老人クラブへの入会にあたっては、特別な資格は求められません。

入会希望者は住んでいる地域のクラブに連合会から紹介されるので、自分の地域のクラブがどこにあるのかわからなくても問題ありません。

また所属クラブの同意があれば、他クラブへの越境もできます。中にはいくつかのクラブに所属しながら、さまざまな活動を楽しむ人もいるようです。

老人クラブの減少傾向

誰でも気軽に入会できる老人クラブですが、高齢者の比率が高まっているのとは逆に、会員数は全国的に減少傾向にあります。

その理由としては老人クラブに入会できる年齢の人でも、現役並みに働く人が増えていることがあげられます。

また高齢者向けの学習やサークルが増加しており、趣味や興味に合わせて選択できる環境となったことも原因の一つです。

さらに高齢者世代の意識の変化により、「老人クラブ」という名称に抵抗を持つ人が増えたことも背景となっているようです。

老人クラブでは何をしている?

老人クラブでは何をしている?

老人クラブについては一般社会でもかなり認知されていますが、具体的にはどのような活動が行われているのでしょうか。

地域の連帯を深める

老人クラブでは、地域の連携強化のためにさまざまな活動を行っています。

独居高齢者の孤立防止のための定期的な見回りや、こまめな声かけ、またサロンに勧誘するなどの仲間づくりといったことも活動の一環です。

身体の不自由な人に対しての買い物支援といった、福祉の手が回らない部分のフォローにも一役買っています。

また互助会制度として、通院の付添いや草取り、障子の張替えなどの困りごとを、お互いの助け合いで補うしくみを提供しています。

その他、花見など季節のイベントを開催し、エリアの人たちの縁をつなぎながら、地域を盛り立てています。

健康維持活動

自分自身が元気で一生を終えるための手段として、老人クラブに加入しているという人も多いようです。

仲間がいれば、運動も楽しく続けることができます。各種スポーツ・体操、健康講座の開催により、運動に親しむ機会を提供します。

またウォーキングコースの設置への働きかけなど、環境整備にも尽力しています。

安全・安心な地域のために

若い世代のサポートも、老人クラブの重要な活動の一つです。

通学時の子どもの見守りや、地域安全パトロールなどへの協力により、地域の安全・安心に貢献しています。

子どもたちとの触れ合いの機会を重ねることにより、地域の親密さが増し、連携が強化されることが期待できます。

老人クラブに入会する際の注意点

老人クラブに入会する際の注意点

はつらつとした毎日を送るために、仲間との交流や活動はとても良い効果があります。

老人クラブに入会する際には、どのような点に注意しておけば良いでしょうか。

会費は各クラブで異なる

老人クラブは福祉サービスとは異なり、自主的な活動です。そのため、入会後は会費負担が生じます。

老人クラブの運営費は補助もされていますが、独立した自主運営が基本となっています。 会員は会費を支払う必要があります。

会費は年1,000円~3,000円程度が相場で、そのクラブの活動方針によっても差があります。

活動内容を知ろう

老人クラブは自主的な活動団体なので、メインとなる趣旨は同じでも、個々の活動内容は地域異なります。

およその傾向を先に調べ、興味が持てそうかどうか、また活動時の雰囲気などを含めて自分に合っているのかを判断する必要があります。

無理のない参加へ

周囲がどれほど良いと思っても、老人クラブへの参加は入会する本人の意志が一番大切です。

気が進まないのを無理やり入会させても、結局は出かけなくなるという恐れもあります。

入会する前に体験参加をしてみるなど、実際にその場の空気を味わってみる方法もあります。親しい人に誘われれば、抵抗なく参加できるかもしれません。

重要なのは無理なく活動できることです。本人が気に入れば、やがて参加するのが生きがいとなり、積極的に老人クラブの一員としての貢献できるようになります。

老人クラブで人生に健康と充足感を

老人クラブで人生に健康と充足感を

老人クラブの歴史を見ても、高齢者が社会の中で果たしてきた役割が決して小さくはないことがわかります。

現代の社会は現役を退いた後の老後生活が長く続き、年齢よりもずっと元気なお年寄りが多く見られます。

まだ体力も知力も十分にある人が、家の中にくすぶっているのはあまりにも惜しいことです。

本人の健康維持に役立ち、貢献感や充足感を得られる場として、老人クラブへの参加を検討してみることをおすすめします。

※この記事は2020年1月時点の情報で作成しています。