後期高齢者医療制度の保険料の計算方法は?

75歳の誕生日から加入となる後期高齢者医療制度。すでに、別記事を参照していただき後期高齢者医療制度がどのようなものかを理解いただけたのではないでしょうか。ですが、具体的な保険料等についての記載がなく、実質いくらかかるのかということが分からなかった方も多かったかもしれません。そこで今回は、後期高齢者医療制度の保険料について具体的にお伝えしていきます。

後期高齢者医療制度の保険料の算定方法は?

後期高齢者医療制度の保険料の算定方法について

後期高齢者医療制度による保険料の額は、被保険者全員が負担する均等割と、所得に応じて負担する所得割の合計額で決定します。均等割額とは被保険者の人数に応じて等しく額を割って算出したものでその年によって額が異なります。

この金額は都道府県によって異なります。例えば、平成30・31年度全国平均保険料率均等割は年額で45,116円となっています。次に、所得割ですがこれは前述したとおりです。収入が公的年金のみの場合は、所得割の金額は所得割額=(公的年金収入-公的年金控除-基礎控除33万円)x保険料率という計算式で求めることができます。公的年金控除は収入金額に応じて定められています。

後期高齢者医療制度の保険料はその年の4月1日から翌年3月31日までの金額です。保険料率は2年ごとに改定されます。尚、保険料率においては各都道府県の後期高齢者医療広域連合議会にて決定されます。

また、世帯の所得が一定以下の場合および元被扶養者においては以下のように保険料の軽減措置がなされます。  

世帯の所得が一定以下の場合

世帯の所得が一定以下の場合すなわち低所得者の場合を指します。低所得者の均等割額の軽減率は同じ世帯の後期高齢者医療制度の被保険者全員と世帯主の「総所得金額等を合計した額」によって軽減区分が決められます。

令和元年度における軽減区分を見てみると総所得金額等の合計が33万円以下で被保険者全員が年金収入80万円以下でありその他の所得がない場合は8割軽減、総所得金額の合計が33万円以下で8割軽減の基準に該当しない場合は8.5割軽減、総所得金額の合計が33万円+(28万円×被保険者の数)以下の場合は5割軽減、総所得金額の合計が33万円+(51万円×被保険者の数)以下の場合は2割軽減となります。

また、所得割額においては都道府県ごとに措置がなされる場合が多いです。例えば東京都の場合ですと賦課のもととなる所得金額(旧ただし書き所得)が20万円以下の方においては所得割額を軽減し、その分市区町村で財源を負担しています。

ちなみにこの、賦課のもととなる所得金額(旧ただし書き所得)とは、住民税の賦課方式としてはすでに廃止されている、旧地方税法における住民税課税方式に関する条文のただし書きとして規定されていた方法を用いて算出される所得のことをいいます。

賦課のもととなる所得金額(旧ただし書き所得)の計算方法は旧ただし書き所得=前年の総所得金額等(注釈)-住民税の基礎控除額(33万円)で計算できます。退職所得はこの総所得の金額の中には含まれません。

元被扶養者の場合

元被扶養者とは後期高齢者医療制度に加入する前日まで被用者保険の被扶養者(被用者の配偶者や親など)であった方のことを言います。

この元被扶養者はいきなり保険料を年金から差し引かれることで経済的な負担になる可能性を考慮され、保険料が一時的に軽減されます。

元被扶養者の均等割額軽減割合は、均等割額においては加入から2年を経過する月まで5割軽減され、所得割額は当面の間かかりません。

我が家はいくら?保険料計算例

それでは実際に我が家はいくら保険料を払えばよいのか、保険料を計算してみましょう、 保険料は均等割額+所得割額=で求めることができます。この計算式で出てきた数値から100円未満は切り捨てです。この式によって1年間分の保険料が算出されます。

例えば、単身80歳で公的年金などによる収入が250万円の方の場合、保険料を先ほどの式に当てはめてみます。

まず均等割額は前述した全国平均値で算出して45,116円とします。

次に所得割額は(公的年金収入-公的年金控除-基礎控除33万円)x保険料率に当てはめると、(250万円-120万円-33万円)×8.80%(東京都の算出した値に基づく)=85,360円となります。

均等割額45,116円+85,360円=130,400円が1年間に納める保険料となります。

この計算式はいろいろなサイトで算出可能です。主に後期高齢者医療広域連合のサイトで算出することができます。

例えば、東京都後期高齢者医療広域連合ですとエクセルシートに金額を入力するだけで簡単に算出することが可能です。

保険料試算用シート|東京都後期高齢者医療広域連合公式ウェブサイト

 

また、上記のサイトでは具体的な収入と家族構成から保険料の一例を見ることもできますので計算をする前に保険料のイメージがつくのではないでしょうか。

他にも各都道府県の後期高齢者医療広域連合のサイトでこういったシートが用意されています。自分の居住している自治体で計算したほうが均等割額や保険料率がより具体的になるため、自身の居住している自治体の後期高齢者医療広域連合のサイトをチェックしてみてください。

保険料の納付の方法

後期高齢者医療制度における保険料は原則として特別徴取と言って年金からの天引きとなります。

年額18万円以上の年金を受給している方のうち、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、特別徴収の対象となる年金額の2分の1以下の方がこの特別徴収の対象になります。もしも2つ以上の年金を受給している方は、政令などで定める最も優先順位の高い年金の金額となります。

今まで紹介してきたものに当てはまらないという方は普通徴取といって口座振替や納付書等で市区町村へ納めます。普通徴収の場合は口座振替または納付書などにより、7月から3月までの毎月(原則9回)に分けて保険料を納付します。

また、特別徴収の対象者であっても年度の途中から被保険者になった場合、後期医療保険加入中に市町村をまたいでの転入をした場合においては手続きに数か月程度の時間が必要になるため、手続きが完了するまでは普通徴取と同様の方法で保険料を支払うことになります。 現在特別徴収である方も、希望者は普通徴収に切り替えることが可能です。その場合は市区町村への申請が必要となるためお近くの窓口へお問い合わせしてみてください。

後期高齢者医療制度で受けられる給付

後期高齢者医療制度によって受けられる給付のことを保険給付といいます。保険給付は今までの保険制度と同様に医療のサービスなどが受けられる現物給付と療養費の支給などの現金給付の2種類があります。

後期高齢者医療制度によって受けられる給付は大きく分けて以下の7つになります。

療養の給付

病気やケガで病院などにかかったときに医療費が一部負担になることをいいます。、窓口で保険証と同等の扱いになる後期高齢者医療被保険者証を提示することで給付が受けられます。

負担金は現役並み所得者(本人と世帯内の他の被保険者の課税所得の合算が145万円以上)は3割負担ですがそれ以外の方は1割負担となります。なお、現役並み所得者であっても、収入額が一定額未満であれば1割負担になるケースもあります。

入院時食事療養費

入院中の食事代の一部を負担するものです。また、療養病床へ入院した場合には食事代に加えて居住費の一部も負担されます。療養病床で受けられる給付は入院時生活療養費といいます。

療養費

いったん自己負担した医療費を申請し支給が決定された段階で自己負担分を除いた全額が給付されます。

対象の医療費は急病などやむをえない事情、保険の取扱いをしていない病院で治療を受けた時や保険証を持たずに治療を受けた時、後期高齢者医療を扱っていない柔道整復師の施術代(骨折・捻挫・脱臼など)、医師から指示されたはり・きゅう・あんま・マッサージ代、治療用装具(コルセット、義足など)を購入した時、輸血のための生血代、海外渡航中に急病やケガで病院にかかった時(海外療養費)です。

なお中には医師が認めなければこの給付の対象にならないものもあります。

葬祭費

加入者である被保険者が亡くなった場合、葬儀を執り行った方には葬祭費が支給されます。

移送費

病気やケガなどで歩行が困難な方で、医師の指示により治療上必要、緊急、やむをえず別の病院に移送しなければならないという条件の下で移送をした時などに、移送に要した額が支給されることがあります。

高額療養費

1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の額を超えた場合、限度額を超えた分が高額療養費として後から支給されるものです。

限度額は所得によって異なります。なお、入院中の食事代や保険がきかない差額ベッド代(個室の利用)、自由診療などは対象外となります。

まとめ

後期高齢者医療制度の仕組みを知ったところで、いざ自分が負担する金額はいくらになるのかと疑問を持たれる方は多いものと考えます。その時にこの記事を利用して保険料に関する細かい事情を知り計算に役立てていただければと思います。

同じように保険料の額を知りたいという方が身近にいる方、金額の計算をしてためになったという方はぜひシェアしていただければ嬉しいです。

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

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天野 洋一
監修者:天野 洋一(あまの よういち)

社会保険労務士。トヨタ自動車(株)勤務を経て、愛知県豊田市で開業。
埼玉県旧浦和市(現さいたま市)出身。2007年千葉大学大学院修了。
クラウドを活用した社会保険、労働保険の電子申請が得意。
ライフワークとして、病気で休職中の方々のリワーク支援や障害年金申請サポートに力を注いでいる。