要介護・要支援とは?要介護1~5、要支援1・2の違い

介護保険サービスを利用するには、まず要支援要介護認定を受ける必要があります。この記事では、全部で7段階ある要支援要介護の基準の目安、使えるサービスの違い、要支援2と要介護1を分ける要件などについて解説しました。ぜひ参考にしてみてください。

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要介護要支援とは

要介護・要支援とは



要介護要支援とは、介護保険制度を利用する基準となるものです。訪問介護やデイサービス、福祉用具貸与、住宅改修などの介護保険サービスを利用する際に、まずどれぐらいサービスが必要な状態なのかを判断するために要介護認定を受けます。

 要介護要支援認定を受けられるのは、65歳以上または40歳以上で要介護状態が特定疾病(16疾病)に基づく方です。

要支援1、2または要介護1~5と判断されると、介護保険サービスを利用することができます。自立(非該当)と判断されると、介護保険サービスを利用することはできません。

自治体が行っている大人用紙おむつの助成や施設への入居など、介護保険制度以外でも、要支援要介護度の基準は利用されています。

要支援とは

身体または認知症などの精神の障害があり、状態の軽減や悪化の防止のために介護予防サービスなどを利用した方がいいと見込まれる状態です。要支援には1と2があります。要支援1は、最も自立(非該当)に近い状態です。

要介護とは

身体または認知症などの精神の障害があるため、日常生活における基本的な動作の全部または一部において、継続して介護が必要だと見込まれる状態です。要介護には1~5の5段階があります。要介護1はもっとも要支援に近く、要介護5は最も介護が必要な状態です。

要支援要介護で使えるサービスの違い

要支援1、2では、介護保険が適用される介護予防サービスなどを利用することができます。福祉用具の貸与については、一部対象とならないものがあります。特別養護老人ホームや老人保健施設、介護療養型医療施設などの介護保険施設は、原則として入居の対象とはなりません。以前は介護保険で提供されていた訪問介護や通所介護は、自治体が提供している介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)にて利用することが可能です。

要介護1~5では、介護保険が適用される介護サービスを利用することができます。要介護1~3の方については、レンタルの対象とならない福祉用具があります。老人保健施設や介護療養型医療施設などの介護保険施設に入居可能ですが、特別養護老人ホームへの入居は、原則として要介護3以上である必要があります。

介護保険が適用される住宅改修については、要支援1から利用することができます。支給されるのは生涯で1度限り(支給限度基準額:20万円)ですが、要介護状態が3段階以上上昇した時と転居した時には再度支給されます。

要介護要支援度の基準と支給限度額について

要介護・要支援の基準と支給限度額について



介護保険制度が利用できる要支援要介護は、全部で7つの段階に分かれています。それぞれの基準の目安を見ていきましょう。一人一人の状態や環境は異なるため、実際に認定を受けた人の状態と一致しない場合もあります。

また、介護保険サービスは、サービスの内容とサービスを提供した時間に応じて金額が定められています。要支援要介護度ごとに介護保険が適用される支給限度額があり、その金額を超えると介護保険は適用されず、オーバーした分は全額自己負担(10割負担)になります。あわせて確認していきましょう。

要支援

介護予防サービスを利用することで、状態の改善が見込まれる状態です。基本的には自分で日常生活を送れますが、「掃除機が重たくて使えなくなってきた」などの理由で、生活の一部に見守りや手助けなどの社会的な支援が必要です。

 

支給限度額/月:5万320円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要支援2

立ち上がりや歩行に不安定さがみられたり、排泄や入浴などに部分的な介助が必要になったりなど、要支援1と比較して、見守りや手助けなどの社会的支援がより必要になった状態です。適切に介護サービスを利用することで、状態の維持や改善が見込まれます。

 

支給限度額/月:10万5310円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要介護1

立ち上がりや歩行に不安定さがみられたり、排泄や入浴などに部分的な介助が必要になったりなど、見守りや手助けなどの社会的支援が必要な状態です。「道に迷うことがある」「薬を飲み忘れる」など、認知機能の低下による日常生活への影響がみられる場合があります。

 

支給限度額/月:16万7650円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要介護2

軽度の介護が必要な状態です。立ち上がりや歩行などが自力では難しいケースが多く、日常生活に一部または全面的な介助が必要ですが、「浴槽への移動時の介助や背中を洗ってもらうなどの手助けがあれば入浴できる」「衣類は自分で着られる」など、自分でできることもたくさんあります。

 

支給限度額/月:19万7050円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要介護3

中等度の介護が必要な状態です。立ち上がりや歩行などが自力ではできないケースが多く、起床から就寝まで日常生活に全面的な介助が必要です。状態や環境によっては在宅での生活が難しいため、要介護3から特別養護老人ホームへの入居が可能となります。

 

 

支給限度額/月:27万480円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要介護4

重度の介護が必要な状態です。立ち上がりや立位の保持が、自力では難しいケースが多くみられます。日常生活の上で能力の低下があり、排泄や入浴、衣服の着脱など多くの場面で介助が必要です。

 

支給限度額/月:30万9380円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要介護5

最重度の介護が必要な状態です。日常生活の全般に介助が必要となり、意思の伝達も困難なケースも多くあります。 特に、食事に関しては全介助となるケースが増えてきます。

 

支給限度額/月:36万2170円

※自己負担割合は原則1割(所得に応じて2割または3割)です

使えるサービスなどについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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要支援2と要介護1の違いはどこにある?

要支援2と要介護1の違いは?



要支援2」と「要介護1」の違いは、なかなかわかりにくいものです。日常生活でできる動作にはそれほど大きな差はないのにもかかわらず、使えるサービスや支給限度額に大きな差があります。

どのようにして、要支援2と要介護1は判断されているのでしょうか。基本的な考え方をみてみましょう。

認知機能の状態

認知機能の状態を示す基準として利用されるのが、認知症高齢者の日常生活自立度です。これが、「Ⅱ(日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる)」よりも低下している場合には、要介護1と判断されます。

認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱで見られる認知症の症状には以下のようなものがあります。

 

(家庭外)

  • 道に迷うことがある
  • 買い物や金銭管理などでそれまでできていたことを間違えるといったミスが目立つ

 

(家庭内)

  • 服薬管理ができないことがある
  • 電話の応対、訪問客の対応などができない

 

こうした行動や症状が見られると、要介護1だと判断される可能性が高くなります。また、認知症以外の精神疾患などでも、介護予防サービスの利用が難しいと判断される場合は同様です。

認定調査では、主治医意見書に加えて、訪問調査で聞き取った内容も大きな判断材料となります。認知症の方によっては、知らない人の前では普段よりもしっかりしてしまうことがあるので、認定調査員に普段の様子を伝えておくようにしましょう。

状態の安定性

「短期間で心身の状態が変化することが予測され、それに伴い、要介護度の重度化も短期的に生ずるおそれが高く、概ね 6ヵ月以内に要介護状態などの再評価が必要な場合」だと判断されると、要介護1と認定される可能性が高くなります。

気を付けたいのは、症状の安定性や重症かどうかだけで判断されるものではないということです。介護の手間が増えることにより、概ね6ヵ月以内に要介護度の見直しが必要かどうかで判断されます。

要介護認定の手続きの流れ

要介護認定の手続きの流れ



最後に要介護認定の手続きについて確認しておきましょう。

手続きの流れ

Step1:申請する

要介護認定を受けるには、まずは市区町村の窓口に申請をします。本人または家族が申請をしますが、地域包括支援センターやケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所にて代理申請してもらうことも可能です。

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Step2:調査を受ける

申請をすると、実際にどのくらいの身体機能あるいは認知機能、精神機能であるかを調査する「訪問調査」が行われます。要介護度の判定は、この訪問調査と主治医意見書にて行われます。

「要介護認定調査」の注意点や事前準備は - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

Step3:決定

訪問調査と主治医意見書を基に、コンピューターによる一次判定、そして介護認定審査会による二次判定が行われて、要介護度とその有効期間が決定されます。

申請から決定までの期間は、原則として30日以内です。

要介護度が決まった後は

要介護認定が出たら、介護サービスを利用するためにケアマネジャーにケアプランを作成してもらいましょう。要支援の方は地域包括支援センター、要介護の方は居宅介護事業所のケアマネジャーが担当します。

要介護認定の申請から介護保険を利用するまでの詳細は、以下の記事を参考にしてください。

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まとめ

介護保険制度を利用するには、「要支援1、2」または「要介護1~5」の認定を受ける必要があります。自立(非該当)の方は利用できません。要支援要介護度は、介護保険制度以外にも自治体の紙おむつの給付制度や施設入居などの基準にも利用されています。

介護保険が適用される月々の上限金額は、要支援要介護度ごとに異なります。今後必要になる介護サービスについて考えるためにも、要支援度や要介護度ごとの状態の基準を把握しておくといいでしょう。

介護保険制度を利用する際に、まず必要になるのが要支援要介護の認定です。介護が始まったものの、いろいろなことが手探り状態で今後のことが考えられないという方もいることでしょう。

この記事で少しでも介護保険制度が身近に感じられ、先のことを考えるきっかけになれば幸いです。

※この記事は2020年4月時点での情報を基に作成しています

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監修者:陽田 裕也
陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、 特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。