遠方に住む親の通院付き添いはヘルパーに頼める?利用条件や頼める内容を教えてください。

通院介助はヘルパーに依頼できる

質問

質問者

車で片道3時間の場所に住んでいる母の遠距離介護をしています。通院が月に2回あり、そのたびにパートを休んで付き添いをしていましたが、体力や金銭・精神的に辛いので、ヘルパーさんに通院介助を頼みたいと思っています。

以前なんとなくケアマネジャーに聞いた時には、「難しいかもしれない」と言われてしまいました。頼むのに条件はあるのでしょうか? 母は要介護1で、1人で買い物などはしていますが認知症があるので通院は不安です。

また、ヘルパーさんに頼むときには、どこまで頼めるのでしょうか。普段の様子を伝えてもらったり、診察結果をメモしてもらったりはできますか?

 

専門家

通院介助についての質問ですね。介護保険では、ケアマネジャーが必要と判断した場合に、訪問介護の通院等乗降介助、または身体介護を利用することができます。ただし、原則として院内の付き添いはできません。介護保険の通院介助には制約があるため、自費サービスを選ぶ方も多いです。

この記事では、介護保険の通院介助の内容や利用できないケースを中心に、自費サービスや訪問診療という選択肢について紹介します。ぜひ今後の生活の参考にしてください。

介護保険と自費の通院介助の違い

介護保険と自費利用の通院介助は何が違う?

まずは、介護保険でお願いできる通院介助の内容と、自費でお願いできる内容の違いを確認しましょう。

介護保険の通院介助

介護保険サービスの通院介助には、2つのパターンがあります。 いずれも診察を待つ時間や診察中の時間は医療保険の範囲であるため、介護保険サービスは原則として併用できません。

●通院等乗降介助

通院等乗降介助のイメージ

一般的に「介護タクシー」と呼ばれているサービスです。ヘルパーが外出前の準備から乗車介助を行い、ヘルパーが運転する車で病院へ。病院に到着後は、降車介助や受診などの手続きなどをヘルパーが行います。帰りは、薬の受け取りや乗車介助をしてもらい、ヘルパーが運転する車で自宅に戻り、降車介助や自宅に戻ってからの移動介助までをヘルパーが行います。

外出前の準備や自宅に戻ってからの移動介助などは、あわせて20分以内におさまる必要があります。また、車内で介助が必要な方は利用できません。

費用は「運賃」+「介護保険サービス費用」です。介護保険サービス費用は、運転中の時間に関わらず1回99円(*1)です。往路と復路でそれぞれ1回となります。往路のみヘルパーに依頼し、復路は家族が対応することも可能です。「普段は杖歩行だけれど、通院時には車いすを借りたい」、「移動にはストレッチャーが必要」などの場合には、福祉用具のレンタル費用が掛かります。

●身体介護

身体介護となる場合のイメージ



外出前の準備や帰宅後の介助などに合計で20分以上の時間がかかる場合や、徒歩や車いすを押して病院に向かう場合、タクシーや公共交通機関を利用している間も介助が必要な場合は身体介護となります。

診察を待つ時間や診察中の時間を除いて、かかった時間に応じた費用(*1)が掛かります。

20分以上30分未満 250円
30分以上1時間未満 396円
1時間以上 579円に30分増すごとに+84円

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。時間帯(早朝・深夜)やサービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

診察を待つ時間や診察中は原則として対象外

診察を待つ時間の付き添いや診察中の時間は医療保険の範囲であるため、介護保険サービスは原則として併用できません。ただし、院内での待ち時間に付き添いが必要な状態だとケアマネジャーが判断し、病院側による対応が難しい場合には、病院内であってもヘルパーに付き添いをお願いできます。

例えば、家族や顔見知りのヘルパーがいないと不安になってしまう方、認知症などで常に見守りが必要な方、待ち時間に排泄介助などの身体介護が必要な方などに、病院側の人員で対応できなければ、ヘルパーの院内の付き添いが認められます。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

介護保険では断られるケース

介護保険による通院介助が認められるのは、要介護1以上でケアマネジャーが必要だと判断した方です。外出準備や移動などが自立しており、1人で通院できる状態だと判断されると介護保険を適用したサービスは利用できません。

また、訪問介護は自宅を基本としたサービスのため、親戚や知人の家からの往復はできません。ただし、病院から病院への移動は利用可能です。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

その他にも、通院先の病院が遠方である、人員的に引き受けるのが難しいなどの理由で、通院介助を断られることがあります。

自費の通院介助ならできること

自費サービスは介護保険のような制限がないため、外出準備から院内や診察室の付き添い、帰宅後のケアなどを一貫してヘルパーにお願いすることが可能です。

ただし、診察内容をメモして家族に伝えるという点については、間違った内容が伝わってしまうことを避けるため、引き受けてもらえないことがあります。

介護保険と自費はどちらを利用すべきか

ヘルパーは保険か自費かどちらで頼むべき?

それでは、介護保険と自費のサービスは、どちらを利用したほうがいいのでしょうか。

こんなケースなら介護保険サービスを

ケアマネジャーから介護保険を利用した通院介助が必要だと判断された要介護1以上の方、診察室での受け答えに不安がない方、できるだけ費用を抑えたい方は、介護保険サービスを利用すると良いでしょう。

こんなケースなら自費サービスを

介護保険を利用した通院介助や待ち時間の付き添いが不要だと判断されたものの、念のためヘルパーについていて欲しいという方、診察中に家族からの普段の様子などの伝言をお願いしたい方、自宅ではなく親戚や知人の家に送迎をして欲しい方は、自費サービスでの通院介助をお願いするようになります。

組み合わせた利用もできます

院内や診察室の付き添いなど、介護保険でカバーできない部分だけを自費にして、あとは介護保険を利用することも可能です。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

その他のサービスも検討しましょう

通院介助は時間がかかるため、訪問介護事業所の自費サービスだと費用が高額になってしまいます。金額的に難しいという方は、シルバー人材センターや社会福祉協議会の移送サービスなどが利用できないかを、ケアマネジャーに相談してみてください。

訪問診療も検討しましょう

通院ができない場合は訪問診療を検討する

ここまでは通院介助について説明してきましたが、もう一つの選択肢として訪問診療を紹介します。

訪問診療とは

通院は、身体的・経済的な負担が家族や高齢者自身にかかるものです。1人での通院が難しい方は、自宅に医師が来てくれる訪問診療を検討してみるとよいでしょう。

訪問診療は、1人では通院が難しい自宅療養中の方が利用できるサービスです。病気やけがの内容は問われません。体調不良時に依頼して医師に来てもらう往診とは異なり、訪問診療では決められた日時に、定期的に医師が訪問します。

歯科や眼科など、様々な診療科が訪問診療を行っています。予防接種や処方箋の交付も可能です。利用を検討している方は、通院先のソーシャルワーカーやケアマネジャーなどに相談してみましょう。

家族の同席ができない時は

訪問診療では、できれば家族の同席が望ましいとされていますが、家族の同席ができなくても、訪問診療を利用することは可能です。

緊急時のことも考えてキーボックスを設置して鍵の管理を行い、必要に応じて連絡ノートなどで情報を共有します。

まとめ

時間の掛かる通院は、高齢者本人にも家族にも負担が大きいものです。遠方に住んでいる、通院のために仕事を休まなくてはいけない…など、通院のサポートが難しいと感じていたら、ヘルパーの利用を検討しましょう。

1人での通院が難しい要介護1以上の方であれば、ケアマネジャーが必要だと判断すれば、介護保険を利用して通院介助をお願いすることもできます。ただし、原則として院内の付き添いができないなどの制限があります。

介護保険の通院介助は不要だと判断された方や外出準備から帰宅後のケアまで、院内の付き添いも含めてお願いしたい方は、自費サービスを利用しましょう。ただし、介護保険が適用されないので、費用は高くなってしまいます。

また、処方箋のためだけに通院している場合などは、定期的に医師が自宅に来てくれる訪問診療を検討すると良いでしょう。通院先のソーシャルワーカーやケアマネジャーにご相談ください。

※この記事は2021年12月時点の情報で作成しています。

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i.ansinkaigo.jp

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ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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