認知症なのに要支援2。要介護1との違いは何ですか? 次の認定調査の注意点も教えてください。

質問

質問者同居している義父ですが、いつも出掛けている店から帰れなくなり、病院を受診して先日アルツハイマー型認知症だと診断されました。まだ軽度なので、外出時にだけ気を付ければ、家族がそれほど手をかけなくても自分で生活できていますし、友人たちと趣味のマージャンも楽しんでいます。

認知症の診断をきっかけに要介護認定を受けたのですが、結果が要支援2でした。要介護1が出るかと思っていたので、びっくりしました。認知症だと診断されたら要介護になると思っていたのですが違うのでしょうか? 要介護1と要支援2の違いはどこにありますか? 

今回は家族が認定調査に立ち会わなかったのですが、半年後に更新認定を受ける際に、家族が立ち会ったほうがいいでしょうか? 必ず伝えておいた方がいいことってありますか? 併せて教えてください。

専門家軽度のうちに病院を受診し、診断を受けられて良かったですね。要支援2と要介護1の差は、認知症の診断の有無だけではありません。

この記事では、要支援2と要介護1の判断の違い、そして受けられるサービスの違い、要介護認定調査で家族が注意したいことについて説明します。また、家族が認知症だと診断されたら意識したほうが良いことをまとめました。現在や今後の生活の参考にしてください。

 

要支援2と要介護1の違いとは

まずは、要支援2と要介護1の違いについてみていきましょう。

受けられるサービスの違い

要支援2と要介護1では、利用限度額だけではなく、利用できるサービスの種類も異なります。

例えば、介護保険の通所介護(デイサービス)や訪問介護は、要支援1、2の方は利用できません。市町村が中心となる総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の通所型サービス、訪問型サービスとして利用します。

また、要介護1の方が入居できる、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(介護療養病床)、介護医療院といった介護保険施設への入居もできません。

要支援2と要介護1を分けるポイント

厚生労働省の「要介護認定はどのように行われるか」によると、介護認定の基準のひとつである要介護認定等基準時間は、要支援2と要介護1ともに、「32分以上50分未満。またはこれに沿うとすると認められる状態」となっています。

この要介護認定等基準時間は、実際に介護にかかる時間とは異なる“ものさし”ですが、この時点では要支援2と要介護1には差はありません。

要支援2と要介護1を分ける基準のひとつが、認知機能や思考・感情などの障害の度合いです。認知症高齢者の日常生活自立度が概ねⅡ(日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる)以上であると判断されると、要介護1となります。 他にも、状態の安定性、特記事項に書かれた内容などを考慮して、要介護度が決定します。

認知症の診断と要介護度について

要支援2と要介護1を分ける基準については、上記にて説明しました。認知症の診断が出ていれば、必ずしも要介護1以上になるというわけではありません。

ただし、安心介護に投稿された経験談をみると、認知症の診断が出ていることが主治医意見書に記載されていれば、要介護1以上の認定が比較的出やすい自治体もあるようです。

要支援2と要介護1の違いとは

要介護認定調査で知っておきたい注意点

要介護認定の調査では、訪問調査があります。この訪問調査の際に、家族が知っておきたい注意点を紹介します。

当日の流れ

市区町村から委託を受けたケアマネジャー(介護支援専門員)が、調査を実施します。調査の対象である本人および家族への質問、本人に動いてもらって動作確認などが行われ、通常であれば30分~1時間ほどで終了します。

聞き取り調査では、身体機能や認知機能、移動や食事摂取などの生活機能、精神・行動障害、社会生活への適応、過去14日に受けた特別な医療行為などについて質問されます。

質問では「できる」「できない」ではなく、「一部介助」「見守りが必要」などどの程度できるのかまで確認されます。

できるだけ家族が同席するようにしましょう

知らない人の前ではしっかりしてしまったり、できないことをできると伝えてしまったりすることがあり、日常の状態とは事ある結果が出ることがあります。できるだけ普段の様子を知っている家族が同席するようにしましょう。

介助が必要な動作などについては、どの程度の介助をしているのかをメモをしておくと良いでしょう。

動画を撮影しておきましょう

実際に動作をしてもらう際に、普段はできないことができてしまうことがあります。普段の様子に加えて、「家にいるのに夕方になると帰りたがる」など、時々しか出ない症状について動画におさめておき、調査員に見てもらうと状態を把握してもらいやすくなります。

本人の目の前で見せると混乱してしまったり、自尊心が傷ついてしまったりすることがあるので、できるだけ本人がいないところで見てもらいましょう。

困っていることをありのまま伝える

調査員に状態を把握してもらうためにも、困っていることがあればありのままに伝えましょう。中には「暴言がある」、「万引きをしてしまう」など、なかなか言い出しにくいこともあるかもしれませんが、遠慮せずに困っていることを伝えることが大切です。

家族が認知症だと診断されたら

家族が認知症だと診断されたときに、意識したいことを紹介します。

病気について理解しましょう

まずは、診断を受けた認知症がどういう認知症なのかを理解するようにしましょう。本人の変化や行動が症状によるものだとわかれば、対応もしやすくなるでしょう。進行によって起こりえる症状を知っておけば、心構えもできます。

介護するためだけではなく、自分の心を落ち着かせるためにも、病気について理解することは大切です。

今後について話し合っておきましょう

認知症が重度になってくると、家族が代わりに重要な判断をしなくてはいけないことがあります。

認知症が軽度のうちに、進行したらどのような介護をして欲しいのか、自宅で過ごしたいのか施設に入りたいのか、誰をキーパーソンにしたいのか…などを話し合っておきましょう。

介護の相談相手を作りましょう

家族の介護は難しいものです。分からないことがあったり、耐えられないことがあったりしたら、一人で抱え込まずに、ケアマネジャーなどの介護の専門家などに相談をしましょう。

介護者同士が集まって情報交換や相談をする「家族会」に参加してみるのもおすすめです。通いやすい地域にある家族会を探してみてください。

また、安心介護の「介護のQ&A」では、匿名で介護の専門家に質問をすることができます。「こんなこと相談していいのかな?」と思える悩みや疑問を投稿してみてはいかがでしょうか。

レスパイトも大切です

レスパイト(respite)とは、一時中断や延期、小休止などを意味する英語です。介護では、高齢者などを介護している家族が、介護から離れる時間をつくり、リフレッシュしてもらうことを意味しています。

無理をして体調を崩してしまったり、仕事を辞めなくてはいけなくなったりすることがないように、ショートステイや通所介護(デイサービス)などを上手に利用して、介護から離れる時間を作るようにしましょう。

まとめ

要支援2と要介護1では、使える介護サービスの種類や回数が異なります。できるだけ介護サービスを利用したいと考えている方であれば、要介護1の認定の方がありがたいものです。

要支援2と要介護1の差は認知症の診断の有無だけでは決まりません。より現在の状態に適した介護認定を受けるためにも、訪問認定調査に家族が同席し、メモや動画で普段の様子を調査員に伝えるようにしましょう。遠慮せずに、ありのままの様子を伝えることが大切です。

家族が認知症だと診断されたら、認知症についての正しい知識を身に着け、今後について話し合うようにしましょう。介護をがんばりすぎてしまわないように、レスパイトを意識することも大切です。

※この記事は2021年12月の情報を元に作成しています。

 

 

ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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