閉塞性動脈硬化症(ASO)ってどんな病気なの?|要介護認定の特定疾病

介護保険制度は、40~64歳でも介護サービスを受けることができる「第2号被保険者」があり、その場合、「特定疾病」と診断される必要があります。その特定疾患の1つが閉塞性動脈硬化症(ASO)です。閉塞性動脈硬化症とは果たしてどんな病気で、この病気にかかった場合、どのような点に注意して生活すべきなのでしょうか。ポイントをまとめてみました。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の症状とは

閉塞性動脈硬化症(ASO)の症状とは

 閉塞性動脈硬化症は、動脈が硬くなって足に痛みやしびれ、冷え(冷感)などが出る病気のことです。最近では、末梢動脈疾患と呼ばれることが多くなっています。

 心臓から出た血液は、動脈を通って全身に血液が運ばれます。動脈はスムーズに血液を運ぶために新品のゴムホースのようにしなやかにつくられています。動脈の壁は、三層構造で薄い内膜、弾力の中心の中膜、一番外側の外膜からできています。老化や生活習慣などによって中膜が硬くなり、内膜がボロボロになることがあります。これが「動脈硬化」という状態です。動脈硬化が起こると血液がスムーズに流れなくなり、その結果、さまざまな臓器の障害が発生します。

 脳の動脈硬化は脳卒中(脳梗塞、脳出血)、心臓の動脈硬化は心筋梗塞や狭心症の原因となります。閉塞性動脈硬化症は、下肢に血液を送る血管の動脈硬化が原因で起こるものです。 閉塞性動脈硬化症は、主に次の4つの症状があります。

しびれ、冷感

 閉塞性動脈硬化症の初期に出るのがしびれと冷感です。長い距離を歩いたり強めの運動をした直後などに見られます。症状はすぐに消えることが多いので、ほとんどの人がとくに気に留めることもなく過ごしてしまいます。

間欠性跛行(かんけつせいはこう)

 閉塞性動脈硬化症が進行すると多くの人が訴えるのが間欠性跛行です。これは、歩きはじめのときは症状は何もないのですが、歩いてしばらくすると痛みが出たり疲労感が出たりして足を引きずるようになります。休憩すると症状が消えたり軽くなったりするので再び歩くことができますが、しばらくするとまた痛みなどが出てきます。これが間欠性跛行です。

 歩くと筋肉はそれだけの酸素を必要としますが、閉塞性動脈硬化症になると行き渡る酸素量が少なくなるので、必要酸素量を供給できなくなるために痛みや疲労感が出てしまいます。

 間欠性跛行は、背骨の病気である腰部脊柱管狭窄症でも起きます。腰の背骨の部分の負担が症状の原因なので、自転車に乗っているときには腰への負担が少なく痛みが出ないことが特徴ともいえます。この場合には整形外科の受診をお勧めします。

安静時疼痛(あんせいじとうつう)

 歩くと症状が出るのが間欠性跛行ですが、歩かないで安静にしているときも症状が出るのが安静時疼痛です。ソファや椅子に座っていたり、ベッドの上で横になったりしているだけで痛みなどが出るもので、動脈硬化が進むことでこうした症状が出るようになります。

潰瘍、壊死

 閉塞性動脈硬化症がさらに進行すると、皮膚の深い部分に傷ができる潰瘍や、細胞や組織の一部が死んでしまう壊死が起こることがあります。主に足先にでき、血流が悪いために治りも悪くなります。最悪の場合、足を切断しなくてはいけないこともあり、死に至ることもあります。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の原因

 悪化すると最悪のケースを招いてしまう閉塞性動脈硬化症ですが、この病気にはいくつかの原因があります。主なものは次のとおりです。

糖尿病

 糖尿病は、動脈硬化を進めてしまう原因の1つです。血糖管理のコントロールが悪いと脂肪代謝異常につながり、悪玉のコレステロールが動脈の内膜に沈着し動脈硬化を進めます。また、動脈硬化だけでなく、糖尿病性神経障害が合併すると足の知覚が低下し、足の潰瘍や壊死のリスクが高くなります。

高血圧

 血管の壁を押す力が「血圧」で、それが高い状態にあると血管に圧力をかけることになるので動脈硬化が起こりやすくなります。

脂質異常症

 脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が多過ぎすぎる状態のことです。血液中に脂質が多いと、脂質が内膜に沈着し、動脈硬化が進行します。

喫煙

 喫煙は、血管にもダメージを与えます。喫煙によって種々の化学物質で血管内膜が損傷されるとともに、血管を守るといわれる善玉コレステロールを低下させ悪玉コレステロールの沈着が進み、結果として動脈硬化が進みます。喫煙による閉塞性動脈硬化症のリスクは3~4倍ともいわれています。

 閉塞性動脈硬化症は50歳以上の男性に多く見られる疾患で、加齢と男性であることもリスクファクターになります。ただし、この2つは改善しようがないため、上にあげた4つの原因をなくすことが予防への近道になります。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の症状が現れたときの対処法

 閉塞性動脈硬化症の症状は、間欠性跛行のように症状が出ても時間がたつと消えてしまうため、見過ごされやすいのが特徴です。しかし、悪化してしまうと治すのが難しいため、しびれ、冷感、疲労感などが続くようなら、できるだけ早めに受診しましょう。

 病院では、足の拍動の確認のほか、ドプラ血流計という測定器を使って血圧を測定したり、腕と足首の血圧を測定する「足関節上腕血圧比(ABI)」を行います。通常は足首のほうが血圧が高いのですが、閉塞性動脈硬化症になると腕のほうが血圧が高くなります。

 これらの検査で閉塞性動脈硬化症の疑いが高くなると、診断を確定するために血管を撮影する「血管造影」が行われます。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療方法

 閉塞性動脈硬化症と診断されたら、まず行われるのは生活習慣の改善です。糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙はすべて生活習慣と関係するため、食生活を改善し、運動も行っていきます。もちろんすぐに喫煙することが望ましいのですが、禁煙が難しい場合は、禁煙外来などに通う必要もあります。

 生活習慣の改善などでも効果が出ない場合は、薬物療法が行われます。血管を広くする血管拡張薬のほか、血のかたまりができないようにする抗血小板薬などが使われます。

 それでも改善が難しい場合は、血行再建術が行われます。1つは「経皮的血管形成術(PTA)」。狭くなった血管にバルーンを入れて中でふくらませて血液の流れをよくしたり、金具を入れて固定して血管が狭くなるのを防ぎます。もう1つは「バイパス術」で、血液の流れが悪くなったところに、人工的な血管を通すことで新たな血流を確保します。

閉塞性動脈硬化症(ASO)は介護保険が利用できるの?

 先にお伝えしたように、閉塞性動脈硬化症は介護保険制度の「特定疾病」なため、40~64歳の「第2号被保険者」であっても「要介護認定」を受けた場合、介護保険制度を利用して介護サービスを受けることができます。介護サービスを受けることができます。65歳以上で要支援状態か要介護状態と認定された「第1号被保険者」と同じく、介護保険で利用できるサービスをすべて受けることができ、介護施設にも入居することもできます。

 ただし、施設の多くは65歳以上の第1号被保険者向けが多いため、入居する際には、閉塞性動脈硬化症に対応できるかどうかを事前に確認しておきましょう。

閉塞性動脈硬化症(ASO)の介護の注意点

 閉塞性動脈硬化症の人の介護に重要なことの1つは生活改善です。

 生活改善の基本の中心は食事です。カロリーをよく考えバランスのよい食事を心がけます。

もう1つ重要なのが運動です。運動をすること血行がよくなって、筋肉がつくことで血管が収縮しやすくなることがわかっています。介護をする場合は、できるだけ歩くようにしたり、階段を積極的に上り下りするように促しましょう。

潰瘍ができると、潰瘍の部分に細菌が感染し、局所での治療が不十分だと菌が全身にまわって敗血症になる危険があるため、潰瘍ができた際の初期対応は重要です。ただし、糖尿病の患者さんや高齢者は下肢の知覚が低下していることもあり、傷に気づかないことも多いので、足を常に清潔に保つフットケアを周りが気をつけて行うことも重要です。

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

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監修者:下 正宗
監修: 下 正宗(しも まさむね)

東葛病院臨床検査科科長。1984年広島大学医学部卒。 認定病理医、臨床検査専門医、プライマリケア指導医。『最新 目で見る介護のしかた全ガイド』『家庭でできるリハビリとマッサージ』『介護用語ハンドブック』(成美堂出版)、『絵を見てわかる認知症の予防と介護』(法研)、『体位変換・移動・リハビリの介助』(桐書房)、『身近な人の上手な在宅介護のしかたがわかる本』(自由国民社)など、著作・監修多数。