大手製薬会社がアルツハイマー新薬の開発を断念。しかし2025年までの完成を目指す業界の姿勢は変わらず

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大手製薬会社のイーライ・リリーは11月23日、初期認知症患者向けの治療薬「ソラネズマブ」の製品化を断念したと発表しました。

2013年12月にロンドンで開催されたG8認知症サミットでは、認知症の根本的治療を2025年までに確立することが目標に掲げられています

イーライ・リリーの新薬開発断念の知らせを受けても、2025年までの新薬開発に期待が持てることを、CNNやブルームバーグなどの海外メディアが伝えています。

第3相臨床試験に挑んでいる薬は24種類

CNNは現在24種類の薬が、3段階ある臨床試験の最終段階に進んでいる状態だと伝えています。サンディエゴで開かれたアルツハイマー症臨床試験(CTAD)会議によると、最終段階まで進んでいない新薬を含めると、その数はもっと増えるそうです。

第3相臨床試験とは、前2段階よりも多くの患者を対象に、既存薬やプラセボ(偽薬)と比較し、効果や安全性を検証するものです。

イーライ・リリーが「ソラネズマブ」の開発断念に至ったのは、第3相臨床試験による結果を受けたものでした。また、7月にはシンガポールの製薬会社TauRxファーマシューティカルズが、タウタンパク質を標的とした新薬の開発を、第3相臨床試験で断念しています。

アルツハイマー病治療への複数のアプローチ

開発中の新薬が作用する仕組みは、アルツハイマー病を引き起こすとされているアミロイドβタンパク質に関連したBACE(Beta Secretase Cleaving Enzyme)と呼ばれる酵素を阻害するものやタウタンパク質に作用するものなど様々です。

アルツハイマー病の支援団体Alzheimer's Associationにてシニア・ディレクターを務めるヘザー・スナイダーさんは、「アルツハイマー病の進行によっていくつかの薬を選べるようになるのではないか」とCNNにコメントを寄せています。

今後も進む新薬の開発

イーライ・リリーは2016年4月、アストラゼネカと共同で進めているBACE阻害剤「AZD3293」が第3相臨床試験へ進むことを公表しています。「ソラネズマブ」の開発断念後の12月9日には、MEDI1814という新薬の開発をアストラゼネカと進めることに合意しました。

ほかにもエーザイやバイオジェン、メルク、ロシュ・ホールディングなど、多くの製薬会社がアルツハイマー病治療薬の開発を進めています。

(参考・外部) CNN「Despite failed trials, experts believe we'll have an Alzheimer's drug by 2025」(12/9) FierceBiotech「After phase 3 failures, Lilly signs new Alzheimer’s drug pact with AstraZeneca」(12/9) 日本経済新聞「米イーライ・リリー、アルツハイマー新薬製品化断念」(11/24) Bloomberg「Don’t Give Up Hope Yet After Latest Alzheimer’s Drug Setback」(11/23) WSJ「TauRxのアルツハイマー治療薬、第3相臨床試験で効果示されず」(7/28)

※こちらの記事は2016年12月時点の情報です。