若年性アルツハイマー/若年性認知症とは 10の初期症状

認知症は早期診断を受けて治療することが大切です。ただし、65歳未満で発症する若年性認知症の場合には、年齢が若いため症状と認知症が結びつかないことがあります。この記事では、あらかじめ知っておきたい10の初期症状を中心に若年性認知症について解説しています。

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若年性アルツハイマー/若年性認知症の10の初期症状

 

 

アルツハイマー型認知症が疑われる10の症状

アルツハイマー型認知症に疑われる症状

若い人が認知症になると、本人だけではなく家族も「まだ若いからそんなはずはない」と考えてしまうものです。その結果、更年期障害やうつ病と間違われて診断や治療が遅れてしまうことがあります。

若年性認知症であることを疑うには、認知症そのものの症状を知っておくことが大切です。ここでは、米国アルツハイマー協会が示している「アルツハイマー病かもしれない10の症状」をご紹介します。若い方だけではなく、高齢者の方にも目安としてご利用いただけます。気になることはメモしておき、診断を受ける際に医師に伝えるといいでしょう。

>>参考文献(英語) :Alzheimer’s association : KNOW the 10 SIGNS 

 

若年性認知症は、若年性アルツハイマー型認知症だけではありません。下記の症状に当てはまらない場合でも、「何かがおかしい」と感じたら、専門家の診断を受けるようにしましょう。

日常生活に影響が出るほどの記憶障害

アルツハイマー型認知症の初期症状のひとつとして知られているのが、記憶力の低下です。

《例》

  • 大切な約束を忘れてしまう
  • 同じことを何度も聞く
  • ちょっとしたことでもメモに残したり、家族に聞いたりするようになる 

など 通常の老齢化では……名前や予定を忘れても後で思い出すことができます。

計画や問題解決が困難に

計画を立てて行動することや、数字を処理するのが難しくなることがあります。

《例》

  • 作り慣れているはずの料理が作れない
  • 月々の請求書が払えなくなる
  • 集中力が落ちて今までよりも作業に時間がかかる など

通常の老齢化では……時々家計簿の計算が合わなくなります。

やり慣れた作業をやり遂げるのが難しくなる

それまでは日常的にこなしていた作業が困難になることがあります。

《例》

  • 通いなれた場所に車で行けない
  • やり慣れたゲームのルールを忘れる
  • 予算管理ができない 

など 通常の老齢化では……電子レンジやテレビの録画機能にてこずることがあります。

場所や時間が分からなくなる

日付や季節、時の流れが把握できなくなります。

《例》

  • 日付や曜日、季節を忘れて思い出せない
  • その場所にどうやって来たのか、どこにいるのか思い出せない など

通常の老齢化では……今日が何曜日かを忘れても、後で理解することができます。

目で見たものや空間的な関係を理解できない

読書や距離感を判断すること、色やコントラストをなかなか理解できなくなることがあります。

《例》

  • 距離感がわからずにぶつかる
  • 鏡の前を通ったのに、部屋の中に誰かがいると勘違いする など

通常の老齢化では……白内障に伴い、視力が変化します。

話したり書いたりすることが困難になる

会話や文字を書くことが、それまでにはないほど困難になります

《例》

  • 会話についていくこと、会話に入ることが難しくなる
  • 会話の途中で止まってしまい、続けられなくなる
  • 同じ話を繰り返す
  • 言葉が見つからなくなる/間違える など

通常の老齢化では……時々単語につまることがあります。

物を無くす

物を移動させたものの、自分の行動をたどれないために探せないことが頻繁に繰り返し起こることがあります。

《例》

  • いつも何かを探している
  • なくなったものを誰かのせいにする など

通常の老齢化では……眼鏡やリモコンなどをどこに置いたのか時々わからなくなります。

判断力の低下

判断力が低下し、誤った決断をすることがあります。

《例》

  • 訪問販売などで高額なものを買ってしまう
  • 身なりに注意を払わなくなる など

通常の老齢化では……時々判断を誤ります。

仕事や社会活動を辞めてしまう

仕事や人との関わり、趣味を辞めてしまうことがあります。

《例》

  • 好きだったスポーツに興味を失う
  • 趣味を継続できなくなる
  • 人と会うのを避けるようになる など

通常の老齢化では……仕事や家庭、人との関わりが時々面倒くさくなります。

気分や人格の変化

アルツハイマー型認知症によって、気分や人格が変わることがあります。

《例》

  • 混乱する、不安になる、疑い深くなる、落ち込むなどの気分の変化
  • 家族や友達に対してすぐにイライラする
  • 快適だと感じられない状態になると動揺する など

通常の老齢化では……決まったやり方で物事を進めるようになり、遮られるとイライラします。

若年性認知症とは

若年性認知症とは

高齢者に多い認知症ですが、64歳以下で発症するものを「若年性認知症」といいます。

若年性認知症の特徴

若年性認知症には以下のような特徴があります。

働き盛りで発症する

平均発症年齢は51歳で、50歳未満で発症するケースも3割ほどあります。働き盛りの世代であるため、職を失って経済的な問題に直面することも少なくありません。

ただし、若年性認知症になったからといって、全く仕事ができなくなるわけではありません。体力も十分あるため、その人にあった仕事なら無理をせずに継続できるでしょう。仕事をすることで、自信の回復につながることもあります。

男性に多い

高齢者の認知症は女性に多いといわれていますが、若年性認知症は男性に多いという特徴があります。

受診が遅れてしまうことがある

仕事や家事を現役でしているため、症状による変化に周りは気づきやすいことが多いです。ただし、年齢が若いために認知症と結びつかず、更年期障害やうつなどと勘違いしてしまい、専門医への受診が遅れてしまうことがあります。

配偶者に介護の負担が集中する

若年性認知症の場合、子供が自立していないことや親の介護が始まっていることもあります。配偶者に介護の負担が集中してしまったり、子どもの人生設計が変わってしまったりすることもあります。

原因となる疾患

認知症にはいくつかの種類があります。高齢者の認知症で最も多いのはアルツハイマー型認知症ですが、若年性認知症で最も多いのは脳血管性認知症(約40%)です。続いてアルツハイマー型認知症(約25%)となります。

出典:厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」

65歳未満でも若年性認知症の原因疾患が脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症など初老期における認知症の場合には介護保険制度を利用できます。外傷性やアルコール性の場合には介護保険制度は利用できません。

脳血管性認知症とは

脳血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって引き起こされる認知症のことです。高血圧や糖尿病、心疾患などの身体疾患を伴います。

アルツハイマー型認知症とは異なる点としては、本人が認知症の自覚をしていること、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行していくこと、手足の身体的症状があることなどがあげられます。

脳血管性認知症とは? - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

アルツハイマー型認知症とは

通常、高齢化に伴って発症するケースが多い病気です。若年性認知症患者の4人に1人がアルツハイマー型であるとされています。

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若年性認知症になったら

若年性認知症になったからといって、何もできなくなるわけではありません。若年性認知症になったら、医療機関のソーシャルワーカー、最寄りの地域包括支援センター、市区町村の窓口、若年性認知症コールセンターなどの相談先を作りましょう。

使える支援についての相談にも乗ってもらえます。 仕事を続けたい場合には、まずは現在の職場に無理なく働けるポジションに配置転換できないかを相談してみるといいでしょう。また、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の申請をして、障害者雇用の枠に入るという方法もあります。

退職をした後に仕事を探す場合には、ハローワークなどの他に、障害者職業センターなどを活用しましょう。

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若年性認知症の予防と改善策

若年性認知症を予防・改善するには、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をしっかり管理する、身体を動かす、栄養バランスの整った食事をする、他人と交流するなどの心身ともに健康的な生活を意識するようにしましょう。

若年性認知症を疑ったらかかる病院

若年性認知症の診療ができる医師がいるのは、「神経内科」「神経科」「もの忘れ外来」「精神科」などです。いつからどのような変化があったのかをメモにまとめておくといいでしょう。検査では、問診や身体的検査、神経心理検査、画像診断などを行います。

まずは市町村の高齢者窓口、地域包括支援センターなどで認知症の診断や治療を受けたいことを相談してください。

また、本人が行きたがらない場合には、かかりつけ医や信頼している同僚・上司に働きかけてもらうといいでしょう。

アルツハイマーの前段階「軽度認知障害(MCI)」とは

アルツハイマーの前段階「軽度認知障害(MCI)」について

若年性認知症とあわせて、若いうちから知っておきたいものに軽度認知障害(MCI)があります。これはまだ認知症ではないけれども、正常と認知症の間の段階と表現される状態です。認知機能の低下があっても、日常生活は問題なく送ることができます。

軽度認知障害(MCI)を放置すると認知症へ移行する可能性が高いため、早期診断により進行を予防することが大切です。また、軽度認知障害(MCI)と診断されたからといって必ず認知症になるとは限らず、正常に戻る人もいるため過剰に心配する必要はありません。

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軽度認知障害(MCI)の定義

  • もの忘れを自覚している
  • 身の回りのことは自分で行え、日常生活には支障がない
  • もの忘れはあるが、他の認知機能は年齢相当である
  • 本人以外の人から見ても、もの忘れがあると気づく
  • 認知症ではない

出典:厚生労働省「若年性認知症支援ガイド」

若年性認知症は早期診断と早期治療が重要です

若年性認知症は、年齢からうつ病や更年期症状などだと勘違いして発覚が遅れてしまうことが少なくはありません。早い段階で若年性認知症に気づくことで、当事者がその人らしく暮らし続けるにはどうしたらいいか、どうしたら家族の負担を和らげることができるか、将来はどうしたいかなどを考えることができます。

記憶が抜け落ちてしまっている、料理をしなくなった、季節感がなくなった…などの変化に気づいたら、すぐにかかりつけ医に相談するか「神経内科」「精神科(心療内科、神経科など)」などの医療機関を受診しましょう。

※この記事は2020年7月時点での情報を基に作成しています

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監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。

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